王族ってバカなの?

「一目惚れいたしました。どうか私をお嫁さんにしてください」


「ちょっと何言ってるか分かんないですね」


「ですから...その...私を...あなたのお嫁さんに......もう!何度も言わせないでください!」


照れてるところが可愛い。少しドキッとした。


「いや、だから何がどうなってそういう考えに至ったのかが分からないんですが」


「そうですね、では、私の身の上話から始めましょうか」


「え?長くなります?」


「あれは、私が七歳の頃......」


うわ、語り出したよ。


・・・・・・・・・・・


当時十三歳だった姉は、とても心優しく、愛らしく、城中の者から好かれていました。

私と姉はとても仲が良く、毎日楽しく過ごしていました。

ですが。


ある日突如現れた魔王が、その幸せな日々を壊したのです。

世界中が魔王の配下である魔獣の被害に遭い、このアルファ王国にも、その魔の手が...。


大地は枯れ、民は傷つき、国はどんどん荒れ果てていきました。


すると、一人の貴族が、魔王を倒さんとする勇者として名乗りをあげたのです。

彼は腕のたつ人でしたが、とても魔王に敵う程ではありませんでした。


皆、特に期待していませんでしたが、その貴族は見事、魔王を滅ぼしました。


国王である父は、世界を救った勇者に、褒美は何かと問い、問われたその貴族はこう答えました。

『わが願いはただ一つ、第一王女エルゼ様を、わが妻に頂くこと』


姉は嫌がりました。その貴族は決して人柄の悪い人間ではありませんが、裏に何かあるようで、姉も私も好きになれませんでした。


ですが父は、強き勇者に守られた方が姉も幸せだろうと思い、半ば強制的に姉を嫁がせました。

そして、それから姉は、真に笑うことはなくなりました。


父はこの事をとても後悔しました。


・・・・・・・・・・


「みんな頭おかしいのか?」


「それはどういう」


「だってさ、まずその貴族だろ?魔王を倒した勇者だかなんだか知らないけど、褒美に十三歳の王女を嫁にくれ!って、ただのロリコン変態だろ」


「この国や周辺諸国では、結婚を男女共通で十三歳からできますし、貴族間では、もっと早くから嫁ぐことも珍しくありません」


「でもさ~、十三でしょ?その貴族は、はかない十三の少女をエロい目で見てたってことだろ?やっぱ変態じゃん」


「確かに、そうかもしれませんね」


ユリエルはクスッと笑った。美少女だとどんな顔でも可愛いから、ちょっと反則だと思う。


「王様もさ~、嫌がる娘を無理矢理嫁がせるなよ。後で後悔しても遅いって」


「そう、その事が話の続きに関係しています」


「え?」


「キド様は、この世界に再び魔王が現れたことをご存知ですか?」

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