全ては無茶ブリから始まった。

落ちた

目を覚ますと、どこか暗くて狭い場所にいた。

おまけに埃っぽくて喉がいたい。

目が慣れてくると、どうやら木材でできた小さな部屋のようだ。立ち上がれる高さはないから、ほふく前進で進む。

数分行くと、下から一筋の光が漏れていた。穴が開いているようだ。

何か分かるかもと、覗いてみるが、よく見えない。

ミシッ


「ミシッ?」


次の瞬間、俺は落ちた。

そして、何か柔らかいものに乗っかる。

床だと思っていたのは天井で、俺がいたのは屋根裏だったようだ。そして今俺が乗っているのは、かわいらしいピンクのベッド。

明らかに女性の部屋だ。


「まずいな」


すると、部屋のドアノブが向こうから回されている。誰かが入ってこようとしている。

俺は慌てて隠れた。


・・・・・・・・・・


「姫様、いいかげんにご決断くだされ!」


「だって!あなたたちにはただのまつりごとでも、私には人生を決める一大事なのですよ!」


「そうでしょう。ですが!あなた様の人生の一大事というのならば、あなた様の決断に、国民全ての人生が懸かっているのです!」


「そのために我が身を捨てろと?嫌です!私は自分の方が大事です!」


「姫様!」


「もう部屋です!これ以上ついてこないで!」


部屋の扉を開けてすぐさま入り、大臣を閉め出す。


「はぁ、一生閉じ込めておいて、必要とあらば顔色を変える......お父様のいう通りになるものですか」


怒りを込めて、拳を握り、ベッドを殴る。


「ぐはっ」


「?今の声は」


そういえば、ベッドの掛け布団が不自然に盛り上がっている気がする。


そっとめくろうとすると、誰かが中でつかんでいるようで、めくれない。 


泥棒でしょうか?でも少し気になりますね。

振り返って。


「あ~あ、部屋を出ておやつでもたべましょうかね~」


後ろで掛け布団が動いている。


「と見せかけて!」


いきおいよく布団をめくると、そこには、たった今抜け出そうとしていた、一人の男性がいた。

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