実験結果に疑問あり?

  時が来た、老人と立ち向かう時、私はもう準備万端じゅんびばんたんと言っても過言ではない。昨夜父を夢見たから、今朝いつもより早く起きた。ほぼ同一時刻、私が、向こうの老人が井を向かって歩く、彼はもう私が持っていた木の碗を気づいた、私はこみ上げた誇りを押さえきれず、やる気満々。父はいつも嚢中の錐のうちゅうのきりのようなことを控えろと戒めだが、私は褒められた時の高揚感こうようかんが好きだ。


「愛しい先生!おはようございます!ようやく虫の仕事を完成しました」

「悪くない、見せろ」


  先生はぶっきらぼうに一匹の虫を持ち上げ、目の前へと運んだ。背筋がぞっとする、この虫はそのまま支離滅裂しりめつれつじゃないのかと心配でたまらなかった。ここ数日の親しい付き合いを経って、私はもう青虫の体の全部を知った、彼らはか弱い、老人の朽ち果てた手に持ち上げただけでもう虐待ぎゃくたいに等しい、乱暴の持ち上げは尚更だ。


「試してもいいだろう、一番遠くのセロリの畑だ。全部何匹?」

「95匹です、先生」

「悪くない数。こいつはもうだめのようだ、じゃ94匹だな。虫を畑に置く、均一きんいつ的にやる、分かるか?」

「はい、先生」


  先生が握りつぶした虫をどこかに捨てた、見ていた心が辛い。


「もういい、用はないな?行け、骨格の作り方を考えろ、分からないなら来い」

「はい、先生」


  私は音を立てないまま離れた。先生は私へ怒鳴りはしていない、それなりに私の仕事を認めたと思う。しかし彼は一匹の虫を殺した、それは嫌だ。父が亡くなった後、私はひたすら生物の死を逃れていく、死が私と愛する人たちの間に永遠の別れを作る。


  私は老人が指定した畑へ行った、あそこの苗はもう人の中指ぐらいの身長しんちょう。虫を均一的に撒くため、私は先ず畑を沿って歩く、へんの距離を足取りで計算する…畑はおおよそ正方形せいほうけいに作られていて、一つの辺は9歩くらい。それで1歩を隔て一つの虫を置く、畑の内部は人に歩くための空間を十分残した、私は足取りの幅をちゃんとコントロールし、8歩から10歩まで一つの辺を歩いたら成功と見なす、でないとやり直し。


  仕事が終わった後、総計81匹の虫を使ったため、残り13匹、本来14匹はずだった、神は正しい数字すうじを知る。


  私は新しい骨格の作り方を考え始めた、老人にもっと虫を請求せいきゅうし、改造し、他の畑へ撒く。今から始めてもいい、私はあんな小さなパーツの作り方を分かりません。食料がセロリだけではあり得ない、少なくともセージとミントを必要だ。

  ……しかし目は虫から離れない、私は彼らを改造した、死の苦しみを生きた虫たちに与えてくれた。でも今の虫は自由なんだ、彼らはこの畑から出て、さらにこの恐ろしい森から出て、なんでも出来るはずだ!私のためここのセロリを守る理由なんてどこにも無いはずだ!


  すぐ、一部の虫たちが同じ方向へ向かって移動し始めた、速度が遅いのですが、この畑から離れただけなら大した時間は掛からない。私は挫けた、苗の葉に乗せていた虫さえ目撃もくげきした。本当に野菜を食べない虫なのか?これっぽっちも老人に疑うつもりはないのですが、私ならきっと食う、お腹が空いた時食料を選ぶものか?

  昔収穫期しゅうかくきの光景がよみがえる、ここだけの畑が収穫できる良品りょうひんは普通半分も達しない、幾つかの方法は試したけど、効果が薄い。私が何日を使って構築こうちくした虫軍団はなんの役も立たないかもしれない。それどころか、この美しい苗のガーデンを喰らい尽くすかもしれない。私は絶望した、でも目だけは一刻も虫から離れていない、神へ誓います。

  またすぐ、奇妙きみょうな光景が発生した、先畑から離れていた虫たちはみんな戻っていく?その動きはとてもぎこちなくて、生物が歩いてより機械が動いているように見える。私は至近距離まで接近して観察……微かな歯車の摩擦音まさつおんが聞こえるような…間違いない、私がつけた歯車は今響いている!

  ある虫たちの姿は確かに消えた、でもまだここにいる。私は見た、一つの虫が土を掘って、地下へ潜り込んだ。消えた虫はただ浅い地下に身を隠しただけ、証拠しょうことして新しい穴がちゃんとそこにいた。それに虫に親しく接触せっしょくされた苗たちも無事のようだ、せめて葉は大丈夫だ。


  どういうことなんだ?どんなに頭を酷使こくししても答えが出ない。冷静になきゃ、虫は今何をやっていたのか?これは今解決しなきゃならない私の生理問題せいりもんだい。だから畑の傍で見守った、太陽が居なくなるまで、虫はただ離れ、戻る、離れ、戻る、繰り返し。

  私は自分の救いのない愚かさへ絶望した、戻る理由なんてどこにもないはずだ!ここの苗はこんなにもちっちゃい、隣の野菜はあんなにたくましい、食欲しょくよくを誘う。虫は賢い、私が捕まって行く時は全力を振り絞って逃げる、ただ逃げ場がないだけこの頭がおかしい人から逃れない。神様!どうして逃げない?君たちを虐待した狂人きょうじんがすぐ傍にいるのに、何故戻る?このくそったれの木屑の仕業か?木屑は一体何がした?


  夕食という行為を忘れ、人は一週間夕食抜きでも死なない生き物。その代わり泉の傍に来た、水は狭い、空は暗い、でも自分の顔をちゃんと見える。もう慣れたから、夜で墓碑ぼひに刻んだ父の名前を見ることを…思い出を思い、彼との対話を何に一つ忘れたくない、結局日が暮れた後他人が見えないものを段々見えるようになった。

  水に映した顔は綺麗だ、族人の中に違いなくトップクラスに入れる、でも年配者ねんぱいしゃたちは私を好きじゃない。認めざるを得ない、彼らは知恵ちえがあった、でも私は彼らを尊敬そんけいしない。たとえ歳が半分だけでも、父の知識はあの老いぼれたちより遥かに勝。彼らが私の考えを読み取ったに違いない、長年とげとげしい態度を私へ向けて。ただし年の功だけは認めざるを得ない、彼らは私が知らないことを知る。だから質問はする、誠実な答えは得る、これは私たちの唯一の繋がりだった。とにかく、彼らはただ並みの人より命が長かっただけです。


  でも小屋の老人はまるで違う存在。私が知る限り、もしこの世に父より博識はくしきの士があれば彼しかいません。このまま無鉄砲むてっぽうで、何の用意もなく質問することはいけません、好奇心がどんなに高揚でもだめだ。

  私は偉大なる策略さくりゃくが必要とする、この夜で……

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