ゴールデンウィーク1日目④
一日中歩き回って一体どれだけの人に尋ねただろう…何も掴めなかった。
午後7時、先輩達も知り合いをあたってくれたが、成果は無かったらしい。
今日はもう帰った方がいいと言われ、僕と千年さんは日の落ちた帰り道を歩いている。
「……ごめん」
そう言ったのは僕。悔しさでいっぱいだった。
「僕は無責任に、それだけ情報があれば、大丈夫そう…なんて言った。ほんと、無責任だよ」
「謝らないでよ、ほら、大丈夫だって! お兄ちゃんなら…大丈夫だよ! 無能力でも頑張ってきたお兄ちゃんなら、誰よりも優しくて、友達沢山いて、自分の夢に真摯なお兄ちゃんなら、きっと……」
「お兄さんの…夢?」
「うん、個人差に悩まされずに皆が能力者になれて、能力階級の垣根を無くすことがお兄ちゃんの夢。誰よりも苦労してきたから…無能力者だけどこの夢を抱いた。茨の道だって分かってたはずなのにね…だから、お兄ちゃんは夢を叶えるまで諦めないと思うな!」
本当にそんなことが出来れば、皆が能力者になって階級が無くなれば、そんな世界が実現できたなら、どんなに素晴らしいことだろう。
もしそうなれば、僕達はお互いを必要とする事が出来るだろうか…。
「ごめん、簡単に諦めちゃ駄目だよね! お兄さん見つけて、一緒にお兄さんの夢を応援しよう!」
「うん!」
僕は千年さんを家まで送ってから帰宅した。
こうしてゴールデンウィーク1日目が終了した。
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