ゴールデンウィーク1日目③

ゴールデンウィーク初日とあって、街は人でいっぱいだ。


「お兄ちゃん、どこにいるんだろう?こんなに人がいるんじゃ見つけらんないよ…」


「いや、これはチャンスだよ! そういえば、お兄さんの名前聞いてなかったね。なんて名前?」


「名前は慎也しんや。東能力学区の東鳳大学とうおうに通ってる1年生で、身長は175、右の手の甲に火傷の痕があるの。それと……お兄ちゃん“無能力者”なの」


「分かった。それだけ情報があれば、大丈夫そう」


「え? ほんと?」


これだけ人がいるんだ。人は情報。手掛かりはきっとある! 今聞いた千年さんのお兄さん、慎也さんの情報は充分だ。この情報を元に色んな人に尋ねていけばきっと見つけられる!


「いざとなったら僕の出番かな? 対象を目で捉えていれば、“検索”かけられるから、東鳳大学生を捜せば一番早いかもね」


「大学には…いないわよねぇ。ゴールデンウィークだし、私も東鳳大学生の知り合いはいないなぁ。でも、知り合いの知り合いならいるかも! 連絡してみるね!」


「じゃあ、先輩チームは知り合いをあたって下さい。僕達は足で捜します!」


「分かったわ。はいこれ、私の連絡先」


「あ、はい、ありがとうございます……!」


名刺だった。超びびった。もしかしてどこかの財閥のご令嬢?そういえば三代目って言ってた。……マフィア!?!?


「じゃあ先輩!よろしくお願いします! ほら行くよ三好君!」


「わわわっ!ちょっと待って!」


引きずられながら街の雑踏に消えていく。僕達は足で、先輩達は人脈で、慎也さんを捜す。


「じゃあ行きますか、三代目」


「ええ、ロック。慎也さん、ヤバイことに巻き込まれてなければいいけど…」


「無理でしょう、噂ではバジリスクが血眼で出所を探ってるみたいですし」


「……早く慎也さんを見つけましょう! 時間はないわ!」

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