ゴールデンウィーク1日目②
「はぁ…はぁ…あれ? 三好君、もう先輩と仲良くなってる?」
千年さんは呼吸を整えながら僕達を見渡す。
少し残念そうなのは、僕に二人を自分で紹介したかったのだろう。それほど自慢の大切な先輩なのだろう。
「うん、東雲先輩も城戸先輩もいい人達だよね」
「えへへ」
「なんで音羽ちゃんが照れてんのさ~」
「フフフ、さぁて! 皆揃ったことだし!」
東雲先輩が僕らを見渡しながら言う。僕達が集まった理由は千年さんのお兄さんを捜しだすことだ。大丈夫、この4人なら…きっと見つけられる!
「一緒にお昼を食べましょーーー!」
こけた……皆こけた。
東雲先輩は「どうしたの皆? 大丈夫?」と不思議そうだ。
聞けば、東雲先輩と千年さんはお昼を食べてきていないらしい。音羽に至っては寝坊で慌ててここに来た為、お昼を食べ損ねたらしい。
「せっかくだから、皆でお昼食べたいな~と思ってね。さ、行きましょ!」
半ば強引ではあるけど、まぁ腹が減っては何とやら…いや、お腹いっぱいなんだけどね、半数が腹ペコなんじゃあしょうがないっか。
僕達は適当に探した店へと入った。東雲先輩の目利きがいいのか、とても雰囲気のいいレストランだ。
女子チームはランチを、男子チームはコーヒーと少しのサンドウィッチを注文。しかしここからが地獄だった。お互いについてまだ全然知らない僕達は、お互いに質問をし合うのだろうと思っていたのだが……。
「「「で、三好君の超能力ってどんな能力なの?」」」
3対1でした。
「言えません。そもそも僕は、どんなことがあろうと、僕は能力を使おうとは思ってませんから!」
「えー! 気になるな~。超能力って激レア中の激レアだし」
「確かに気にはなりますけど、三代目は超能力見たことあるでしょ?」
「そうだけど~、噂の超能力者よ? 気になるじゃない?」
「そ、そういえば…千年さんの能力って僕知らないや」
話をなんとか僕から逸らさなくては!
「えっと、私の能力は、コレ」
とテーブルの上のナプキンをチョンと触る。すると、折り紙でよく見るような鶴が出来上がった。
どうやら造形が能力のようだ。
「簡単なものなら触れば作れるよ! 形を変えるだけだから、このフォークをスプーンに変える事は出来るけど、フライパンにする事は出来ないの。“能力者”の私に出来るのは、ナプキンで鶴を作るみたいに、簡単なことだけ」
面白い能力だな~。きっとそれが千年さんの中に眠っていた才能なんだね。
「あと聞いてないのは、東雲先輩ですね。一体どんな能力なんですか?」
「もう、三好君。自分だけ秘密なんてズルイわよ~。まぁ、隠す必要もないから、いいんだけどね。私の能力は氷を作る能力よ。コーヒー冷やしてあげよっか?」
「いえ、遠慮します」
「しかも、三代目は大能力者だから、その力もスゴイからね~。例えば、コーヒーという媒体がなくても、空気中の水分を使って氷を作れるのさ。人間大の氷も作れるよ~」
「ちょっとロック、喋りすぎ」
そんなこんなで、ランチタイムは終了した。あまり長々と喋っていても意味はないし、お会計を済ませた僕達は千年さんのお兄さんの手掛かりを捜しに、街へと繰り出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます