夕暮れの公園

「三好君って、超能力者だよね?」


あまりにも核心だった。的確だった。図星だった。


僕は、超能力者だ。


夕暮れの公園で、僕は何も答えられずにいた。昼でも夜でもない、どちらでもない場所に僕の心もある。


今更引き返せない、ほんの数秒だとしても、もう充分な時間が経ってしまった。超能力者であることを否定するにはもう遅い。でも、言えない。言いたくない。


僕は、僕が。だから、答えられなかった。


「なんで……なんで、そう思ったの?」


やっと言葉に出来たのはそんな質問。質問されてるのは僕だ、なのに……僕は、ズルイ……。


「えっと、ちょっとだけ先輩に協力してもらったの。それに、私たちの学校で無能力者って、三好君だけでしょ?」


「じゃあ! 僕が超能力者だとはならないと思うけど」


「ん~、もっと正確に言えば、三好君にはもう1つ決定的な特徴があったの。……三好君ね、噂の超能力者の落ちこぼれ、じゃないかな?」


「っ!?」


バレてる! ずっと隠してきたのに、簡単にバレている……!


「私の先輩は、“能力が無い超能力”つまり超能力者としての素質があるけど、実力不足か覚醒不足で能力が発動出来ないんじゃないかって推測してたの。東能力学区にいるらしいことも分かってたから、私たちの学校でただ一人の無能力者、三好君に最初に白羽の矢が立ったの。そしたら……」


「ビンゴだったってわけか……」


さて、もう色々バレちゃってるし、どうしようか……


「ねぇ、三好君……私、お話があるの」


「え! 超能力者かどうかの確認じゃなくて?」


「うん、あのね、三好君さ、本当は能力使えるでしょ?」


「……それも?」


「ごめん!先輩に頼んで確認してもらったの」


実際にバレてしまっているのだから、その先輩というのは本当に恐ろしい人だ。僕は能力のことや噂のことを口に出してはいない。だとしたら……あーやっぱやめ!恐すぎる!


「あの、えっと……ここからが、本題……なんだけど……」


あらためて真っ直ぐ見つめられる。次に千年さんが言葉を発するまでの時間は、とても長く感じられた。彼女は何か重要なことを言おうとしている。そんなことは目を見れば分かった。


「私のお兄ちゃんを、一緒に捜してほしいの!」

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