第2話 特別な自分の転生先
「おぎゃあおぎゃあおぎゃあ」
目が覚めた。ブロンドヘアーの女性が見える。喜んでいるみたいだ。彼女が俺のお母さんらしい。
「おぎゃあおぎゃあおぎゃあ」
『ブロンドヘアー』という表現を知っているあたりをみると、ちゃんと元の記憶があるのだな。俺は異世界転生に成功したことを確信した。
「Owwwwww, ahhhhhhh」
嗚咽の混ざった感嘆の雄叫びが耳に響いた。ヨーロッパの人のようなイントネーションが気になる。
それにしても疲れてしまった。そういえば我が身は赤ちゃんのままだった。眠気がドッと襲ってきてすぐに意識がなくなった。
〜〜4年後〜〜
「Fill in this form. You can choose or type every single thing you can remember about your previous life. The More you tell us, the more helpful to you.」
ピコンッ
と音を鳴らしてスマホタブレットは施設の人の説明を翻訳し始めた。
「このフォームに記入しなさい。選択肢を選択する、または前世について覚えていること全てを入力しても構いません。私たちに多く伝えるほどあなたにとって役立つでしょう。」
翻訳はちぐはぐな部分もあるが、おおよその意味は伝わっているので問題ない。特に気にせず言われるままに他の人同様にタブレットに情報を記入していくことにした。ただし母にはその前に
「When you are asked to tell your information, you don't have to answer honestly. If you have something you don't wanna inform, you can tell a lie. Of course if so, you must make your statement consistent, OK?」
ピコンッ
「情報を伝えるよう尋ねられたとき、正直に答える必要はないです。もし伝えたくないことがあるならば嘘をついても構いません。もちろんそうなら、つじつまは合わせなければいけません、よろしいですか?」
と教えてくれたので、自殺したことや酒・パチンコに溺れていたことは申告しなかった。履歴書にかけるような内容じゃないしな。今馬鹿正直に自分の履歴を説明するとどうやって自分の今後に不利になることがあるのだろうとこの時の俺は思っていた。
ここで、あれ?と思った方もいるだろう。ここは異世界のはず。だったらなぜ公用語が英語だったり、スマホがあるのかと。さらになぜ異世界転生したことがばれているのか、とか”他の人同様に”とは一体誰のことを指しているのかとか。
その疑問はこの異世界の本質をついている。
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