第6話

 彼女と私が結婚すると知った周りの人は、「何でMTなの?」と言った。

古橋君に至っては、最悪の女性じゃないか!」と言っていた。佐々木さんだけは、「明るい女性の方がいい」と私と彼女の結婚を喜んでくれた。


 私は自分で、五十歳の自分を予想して、明るい見方はしていなかった。

毎年行っていた奥日光の旅行でも、私は常にそんな明るい家庭生活が長続きしないのを予測していた。

私達の結婚生活は、その第一歩のところで狂っていた。私は結婚したことを決して失敗したとは思っていなかった。


 明日の朝食の事を考えている。もしも私の嫌いな朝食だったら……。


 私は、朝五時に起き、それから散歩をして一緒に行こうかどうか悩んでいる己の姿を予見している。

今日の文芸サロンは寒かった。こんな講義を受けられるも私の離婚があったからだ。


 私と彼女が上手に生活をしていたのは、三十年間である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る