第2話
西暦1887年。茶色のコートを羽織った通りすがりのおじさんは確かそう言った。
唯一答えてくれたそのおじさんはとても頭が良さそうで、如何にも文明開化という感じがした。
1887年。二葉亭四迷が「浮き雲」を発表され始めた年。
会ってみたい気持ちはあるけれど、どこに住んでいるのか分からない。
僕が唯一知っているのは宮城の志賀直哉ぐらいだ。生きているのか、産まれているのかすら分からない。せっかくの初タイムトラベルだから何かして帰りたい。とにかく行ってみよう。
一日とかからずに志賀家にたどり着いた。
どうやら、志賀家は東京に引っ越して来たらしかった。お父様が立派な方らしく、地元の人たちは殆ど知っていた。
志賀直哉は四歳だった。直哉君と大した話は出来なかったが、親切にしてくれたお礼にと紙を借りて手紙を書いて渡した。
門をくぐった時にはもうだいぶ日が落ちていた。時計の針を二時三十分に合わせる。
今度は計画を立てた後で使うようにしよう、そう決心してボタンを押す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます