女の子に挟まれて集中できない高校生活
ウエハラミ
第1話 男子は一人なんですか!?
春うらら、花の香りが風に運ばれ皆は季節の変わり目を感じていた。
新生活に心を踊らす者、雪解けを待ち侘びていた者、節目に心を引き締める者。
様々な者たちが春という季節に心踊らし、意味もなく喜んでいた時。
――――――――俺は絶望していた。
その日俺は高校二年生になって、周りのムードに流され明るい気分で登校していた。
新たなクラスメイト、まだ見ぬ友、そして可愛い女の子を期待していた俺の気分は玄関に張り出された新たなクラスの名簿表を見ることでぶち壊されてしまった。
2年3組男子の名簿1番、
…以上!
――――――――――――は?
まてまて、意味がわからん。
何故だ?これは夢か?
俺はとてつもないショックで放心してしまう…
いや、現実だった。
友人に肩を叩かれた衝撃で一気に引き戻される…
「ソウジ!どういう事だ!?この裏切り者め!ちくしょー!!羨ましい!!!!」
馬鹿だこいつは。
納得出来んわ!
クラスにちょっと女子が多いとかそういうレベルではないだろこれは!!
完全に事態の異常さを飲み込めた俺は職員室まで講義しに行った。
「櫻田先生!なんで男子が僕一人なんですか!」
「おや、意外だな。喜ぶと思ったのに」
2年3組担任、
1年の時も俺の担任をしており、担当教科は英語。
俺は彼女のおかげで英語の成績をトップクラスに維持出来ている。
「喜ぶも何も!完全に男子一人だなんてアウェイじゃないですか!ああ、俺の精神がマッハで削られていく…」
「そんなこと言うな、実はこれには深い事情があってだな…」
「…なんすか。その深いジジョーって」
よっぽどの理由でない限り納得出来ない。
くだらない理由だったら、泣き喚いて講義してやろうか。
「実はだな、我が高校でもアクティブラーニングを本格的に取り入れることになってだな。試験運用のために設立されたのが2年3組だ」
アクティブラーニング、生徒達が能動的な学習をすることで経験豊富な人材を育てるってやつか。
「アクティブラーニングなら今までもやってきたじゃないですか、数学の時の話し合いとか。それに普通のクラスでもそれできますよね?」
「それがだな…今回実施することになったのはかなり新しいものでな。生徒の自主性を育てるために、授業をやらないそうだ」
「!!???」
「そこで私たちは家庭学習で高校過程を問題なく習得できるであろう成績の生徒をピックアップした。喜べ!お前は選ばれたんだ!」
はひ?もう何言ってるか分かりましぇん
「定期試験で成績が落ちるようだったらほかのクラスに戻すことも検討されるだろうが、諦めろ。他の道を探すのではなく、今の道を楽しむための努力するんだな。さあ行け!」
そして俺は職員室から追い出された。
…
はあああああああ?????
意味わからんし、何が授業しねえだよばーか!!!!!
頭おかしんじゃねーの!?
しかも試験運用って、モルモットじゃねえか!!!!
頭が沸騰しそうだったが、こんなくだらない事で脳細胞を全滅させてはいけないと冷静になろうとした。
無理だった。
そんな時登校完了5分前のチャイムを聞いて、とりあえず俺は教室へ向かった。
恐る恐る扉を開けると、そこには3つの机と2人の美少女がいた。
は?
そうか、男子の名簿に衝撃を受けすぎて女子の欄を見ていなかったが、男子は1人、女子は2人なのか。
教室に入った瞬間、2桁の女どもが俺に侮蔑の目線を送る想像をしていたがよかった。
それにしても、あの2人は俺でも名前を知っているぞ。
右端の女子は
まさに完璧、運動部の女子は彼女をお姉様と慕い、男子は姉貴と崇拝しているらしい。
左端の女子は
秀外恵中。
文学少女の局地である彼女は全ての者に対して謙虚に振る舞うため、涅槃人間とまで呼ばれたほどである。
そんなすごい2人の中に俺が入るのか…
なんだか俺、場違いじゃね?
そう考えているうちにひとつのことに気づいた。
ん?右端と左端?
なんと俺の机が真ん中にあるではないか!
確かにその机には書かれていた、浅羽総司と。
こうして始まった俺の高校2年生生活は、とてつもなく波乱万丈な物となるのであった。
女の子に挟まれて集中できない高校生活 ウエハラミ @Ueharami
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