夜水 凪(なぎさ)

足元には崖っぷち

目先には爆弾の嵐


身体の中は汚染され

外見だけはキレイでいる


波打つ岸は削がれゆく

漂う魂は沈みゆく


風吹けば水が喜び

雨降れば私が喜ぶ


赤いチューリップが咲いている

黄色のそれは一つもない


川岸をひたすら歩く


進んだらまた進み


また進む


眩暈を呼ぶ続く赤


崖は消えた

爆弾も遠くに落ちた

洗浄されありのままに

岸はもうない

あるのはただ広がる水溜まり


風が吹く


雨は止んだ


赤いチューリップは気がつけばもうない


白いそれが一輪

足に絡みついた





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夜水 凪(なぎさ) @nagisappu

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