億田金融代表・億田金一郎

イ)「登場人物にインタビューシリーズ第5弾。今回は主人公大島の幼馴染であり、『鬼の億田』『仏の億田』二つの呼び名を持つ億田金一郎(以下・金)氏です。


イ)「よろしくお願いします」

金)「はい、よろしくお願いします」


イ)「あれ?作品の中と違って普通な感じと言うか…」

金)「いや、あれは商売用の格好でして…普段はこんなんですよ」


イ)「今日の億田さんはトレーナーにジーンズといったラフな格好です。眼鏡も普通の眼鏡です。髪もサラサラですね。さわやかなお兄さんと言った感じです」

金)「おおきに」


イ)「では、簡単に自己紹介をお願いします」

金)「億田金一郎です。高嶋市で小規模な金融業を営んでおります。

幼い頃、中兄ちゃんと御両親には大変可愛がっていただきました」


イ)「随分ご苦労されたそうですが」

金)「そうですね…父と母の仲が悪く、祖父母にも可愛がってもらえませんでしたね…今で言う育児放棄ネグレクトでしたね…そんな私と遊んでくれたのが中兄ちゃんと御両親です」


イ)「幼い頃に引っ越されたとか」

金)「両親が離婚後、私は母に連れられて大阪へ行きました。高校へ入学直後母が自ら命を絶ちまして、借金を残して逝きました。私も追い詰められて、借金の取り立てと刺し違えようと覚悟していたところ、師匠に拾われました。金融業界の修行をして独立。現在に至ります」


イ)「あまり聞かない方が良いですか?」

金)「そうですね。あまり触れられたくない過去です」


イ)「それでは質問へ行きましょうか。犬派ですか? それとも猫派ですか? 理由も添えて教えてください」


金)「どちらも好きですが犬ですね。寄って来てくれますから。猫も嫌いじゃないですよ。抱っこすると暖かいでしょ?自分は温もりに飢えて生きてきましたから」


イ)「なるほど、寄り添ってくれるのが大事なのですね。では動物では無くて人ではどうですか? 大切な人はいますか? いたとしたら、なぜその人が大切なのですか?」


金)「社員とお客様は大事ですが、大切なのは小さな頃に可愛がってくれた中兄あたるにいちゃんです」


イ)「再会はなかなかドラマチックだったそうで…」

金)「私が高嶋市から離れた間に苦労されたようで、再会した時には驚きました。札束を『ドン!』と持って来て『まとめて返しに来ました』って…ビックリしましたよ。まさかバイク屋さんになって怪しい団体に騙されるとは…」


イ)「なるほど、お金絡みで再会ですか…不思議な縁ですね。では、次はお金に関係する質問です10億円あったら、何をしますか?」

金)「10億円となるとウチでも用意するのは困難です。そうですね…自由に使えるお金が10億円でしたら…不幸な子供に何かしてやりたいな…」


イ)「では、自由に使えない場合は?」

金)「仕事で貸し付けに使います。10億が15億くらいにはなるでしょう」


イ)「なるほど、さすが金融のプロ。では次の質問。ここ最近で一番楽しかったことや面白かったことはありますか?」

金)「中兄ちゃんとカレーを食べる時は昔に戻ったみたいで楽しいですね」


イ)「 では逆に、悲しかったことはありますか?」

金)「中兄ちゃんが詐欺にあって、それが片付いた時にふと『おっちゃんとおばちゃんは?』って聞いたんです。まだまだ亡くなる歳じゃないんで、ご挨拶にと思ったんですよ。そしたら遺影を見せられて、そこで亡くなったことを初めて知ったんです…うん、あれは悲しかったなぁ」


イ)「いろいろ有ったんですね…では次は少しシリアスな質問です。目の前に傷ついた子供がいるとします。どうしますか?」

金)「転んで怪我くらいなら『泣くな!』って言うくらいですね。生きていると泣きたい事は一杯ありますからね。…虐待されている子供やったら中兄ちゃんの御両親みたいに優しく手を差し伸べる人間でありたいですね」


イ)「では、それに関係するかな?見覚えがない異性が声をかけてきました。どうしますか?」

金)「ハニートラップなら要注意ですが、困って声を掛けて来るなら助けてあげたいですね。騙そうとして寄って来たなら……に堕ちてもらいましょうか」


イ)「……は聞こえませんでしたが、聞こえない方が良い言葉です」


イ)「さて、『 自由に質問コーナー』です。最初はP・N キントクさんからです。

主人公の中にはこの先どうなってほしいですか?」

金)「中兄ちゃんにはお嫁さんを貰って幸せになってもらいたいです。幸い、一緒に住むお嬢さんが好意を持っていらっしゃいますので仲を取り持ちたいなと思います。可愛いお嬢さんですよね。」


イ)「ではそれに関係した質問です。新入社員の家探しも手伝うんですか?」

金)「社員は大事ですから。人は財産です。財産は大切にしないとね」


イ)「次は大島サイクルの常連さんからです。『仏の億田』『鬼の億田』どちらが本当のあなたですか?鬼になる場合・仏になる場合はどう違いますか?」


金)「お金を返せない人でも正直に相談してもらった場合は『仏』となりますね。こちらも商売なんで相手に返す意思が在るなら最大限の手助けはします。その結果が『仏』なのでしょう。こっちは金を返してもらえるようにしているだけですが。

逆に嘘を言ったり逃げようとするなら地獄の底まで追い詰めます。それが『鬼』なのでしょう。どっちにしろ『貸した銭…返してもらいまっせ』…と言ったところですね。どちらも私です(笑)」


イ)「では最後に、このインタビューを読んでいる人にメッセージをどうぞ」


金)「安曇河で銭貸しをしている億田金一郎と申します。利息はトイチ…払えん場合は風俗でも漁船でも働いてもろうて返してもらいまっせ…と言う時代ではなくなりました。でも、借金は返すのが大変です。ご利用は計画的に」


イ)「以上、少しイメージと違った感じですが、億田金一郎さんでした。本日はお休みの所、ありがとうございました」

金)「いえ、ありがとうございました」


プルルルル~♪


金)「あ、メールや…『カレーを作ったから入れもん持って食べにおいで』こりゃ行かんと!ほな、さいなら!」


イ)「ホントに大島さんのカレーが好きなんですね…」

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