大島をよく知る2人 西川・安井
イ)「さて、大島サイクルの登場人物へのインタビューの第3回となりました。
今回は店主の大島さんをよく知る人物の登場です。では、簡単に自己紹介をお願いします」
安井(以下・安)「西川さんの方が付き合いは長いやろ?お先にどうぞ」
西川(以下・西)「いや、年功序列で行きましょう」
(安)「ではお先に、安井です。大島君とはバイクを通じて知り合いました」
(西)「西川です。小学校からの同期で高校時代は一緒に遊んでました」
(安)「ワシは西川君と大島君が疎遠になった頃に知り合ったんかな?」
(西)「そうですね。大島の婚約者が亡くなって疎遠になりましたから」
(安)「ワシが知り合ったのは立ち直りかけて大型2種を取りかけてた頃やな」
(西)「私も大型2種持ってますよ。バス運転手ですから」
(安)「バスか…路線?観光?」
(西)「観光です」
イ)「お二人とも大型2種免許と大型自動二輪持ちですね」
(安)「おう、免許は『大は小を兼ねる』やからな」
(西)「そうですね」
イ)「では次の質問です。犬派ですか? それとも猫派ですか? 理由も添えて教えてください」
安)「おっさん2人になんちゅう質問するんや君は、まぁええわ。犬や。ミニチュアダックスを飼うてる。可愛らしいで。画像見るか?猫は嫌いやな。バイクや車に小便をかけるから。困ってるんや」
西)「どっちも嫌。毛だらけになるやん。たまに今都の奴がバスに乗せて来るけどな、断ったらクレームを入れやがるから困ったもんや」
(安)「今都はどうや?観光バスはそんなに使いよらんやろう?」
(西)「市役所のバスで旅行へ行ってますからね。でも、我々にとっては幸いです。今都の人は乗車マナーが悪いので乗せたくないですねぇ」
イ)「大切な人はいますか? いたとしたら、なぜその人が大切なのですか?」
安)「ワシは家族…特に孫やな。最近、商店街の本屋が駄菓子や玩具も売り出してな。この前、1000円もするピアノのおもちゃを掴んで放しよらんかってな。仕方が無いし買うたわ(笑)運転が仕事やからいつ事故で死ぬか分からん。安らぎをくれる家庭は大事やな」
西)「私も運転手ですからね。事故とは隣り合わせですよ。やっぱり私も家族は大事ですね。娘が居るんですよ。絵里を産んだ後で妻は病気で…」
安)「亡くなったんか?」
西)「いや、2人目は産めんようになっただけ。一人娘やから可愛いて…」
イ)「では次の質問です。10億円あったら、何をしますか?」
安)「ワシは今年の4月で定年なんや。キャンピングカーは有るけど金は無い。10億も有ったら日本1周とかしてみたいな」
西)「私は定年まで17年少々です。まだまだ働かないといけないので貯蓄ですね」
イ)「安井さんはもうすぐ定年ですか…お疲れ様でした。では次の質問です。
ここ最近で一番楽しかったことや面白かったことはありますか?」
安)「孫娘が日に日に大きくなるのを見るのが楽しみで…」
西)「娘がバイクに乗り始めました。親としては心配な面もありますが、やはり同じ趣味を持つと言うのは楽しくも有り、嬉しい物です」
イ)「 悲しかったことはありますか?」
安)「孫が嫁の方に懐く事。ジイジとしてはジェラシーやな」
西)「絵里に『お父さんの後のトイレは臭い』って言われた事」
イ)「目の前に傷ついた子供がいるとします。どうしますか?」
安)「事故や大怪我なら助けるけんど、所詮他人や。知らん」
西)「最近の親御さんは常識が無い方が多いので放置です」
イ)「お二人ともドライな方だったんですね。では、次の質問です。
見覚えがない異性が声をかけてきました。どうしますか?」
西)「どんな声の掛け方かは解らんけど、道やったら詳しいから答えるで」
安)「こんなオッサンに声を掛けるのは道に迷った人位やからな」
イ)「それでは『自由に質問コーナー』です。まずは常連の高校生・白藤理恵さんからの質問です。『昔の大島のおっちゃんはどんな感じやったん?』だそうです」
西)「俺が知ってるのは小学校から20代前半までと最近。とにかく純粋にスピードを追い求めて自転車に乗ってた奴やったな。高校で事故さえ起こさんかったら競輪選手になってたかもしれん。実際スカウトも来てたからな。怪我をした後はガッカリしてたな。そこで俺らのマドンナ・桜ちゃんと付き合って…その後、両親を事故で亡くして、仕事先が倒産・桜ちゃんもあんなことになって…バイク屋になったのは知ってたけど、俺はハーレー乗りから行く機会が無かったんや。気が付いたら疎遠になってた。絵里がバイクを買ったのは何か見えん力が動いたんかもしれんな」
安)「ワシが大島君と出会ったのは教習所で大型二種免許を取った時やな。西川さんが疎遠になってた頃と違うか?寂しさを忘れようと必死で資格を取ってたんかな…その後、会わんようになったな~と思ってたら大石サイクルを継いでたな」
イ)「店を継ぐのに数か月間修行していたそうです」
西)「あいつは何か有ったら専念する奴やから」
安)「ああ、そうかもしれんなぁ」
イ)「では、次は大島さんと同居している磯部リツコさんからの質問です。『大島さんは子種が無いから結婚しないそうですが、結婚するとしたらどんな女性?』」
安)「30歳以上で話が合うのが大事らしい。少食よりしっかり食べる女性のはず」
イ)「大島さんは熟女好きなんですか?」
西)「いや、あんまり年が離れると話が合わんからやって言ってたぞ」
安)「30歳でも十分離れてるけどな。それと、あいつは全く子種が無いって事は無いみたいやぞ。確率はかなり低いらしいけど…奇跡が起きたら子供は出来るみたいや。まぁ、琵琶湖に浮かべた笹船を上空から探して見つけるくらいの確率らしいけどな」
西)「『うわ…そんなに食べるん?』って言う女の人とは付き合わんやろうな」
イ)「では、最期の質問です。ご近所の奥様方からの質問。『最近一緒に住み始めた娘さんとの結婚は有りますか』他にも同じ質問が数人から来ています」
安)「男と女は難しいからなぁ…先の事は分からんよ」
西)「相性は良さそうやけどな、こればかりは分からんで」
イ)「本日はお忙しい中ありがとうございました。最後に、このインタビューを読んでいる人にメッセージをどうぞ」
安)「大島君は結構辛い人生を歩んできています。彼が過ごしてきた状況の事を考えると今都を悪く言うのは仕方ないでしょう。なにとぞご容赦ください」
西)「中は手先は器用やけど、生き方は不器用な奴です。言葉が足らずに誤解を招く事は有りますが、何とぞ優しく見守ってやってください」
イ)「以上、高嶋市安曇河町に在る料亭『かねだ』よりお送りしました」
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