第3話 鉄太郎の流儀

白浜

「さあ、今回のゲストはK大文学部で哲学と民俗学を教えていらした大正元年生まれの、野上鉄太郎教授、享年92才。見た目年齢30才でございます」


中原中也コスプレの野上鉄太郎教授

「あ、キャメラそっち?フロール(嫁)、見てるか~」


白浜

「まずは、自己紹介を」


鉄太郎

「野上鉄太郎、熊本県阿蘇郡産山村出身。訳あって、4才の頃から東京神田で育ち養父に合気柔術仕込まれました。最終学歴帝大卒。大蔵省に勤めてましたが軍部に楯突いてクビになって、戦後、故郷の熊本で教鞭を取って穏やかに生きました…『小論文的読書家感想文』のナビゲーターです」


白浜

「あれは、昔のテレビ番組『カノッサの屈辱』を元に私が小論文枠でふざけ倒す内容です。次の質問、犬と猫、どっちがお好き?」


鉄太郎

「そら猫だあなぁ、孫もいまロシアンブルーってなかなか人になつかない猫飼ってるよ」


白浜

「ロシアンブルーになつかれた時の達成感ったらないですもんね。あのビロードみたいな毛触りまくりですもん…って話が脱線しそうですが、ずばり大切な方は?」


鉄太郎

「そら嫁のフロールと存命している子孫たちに決まってるよ。孫の一人がヒーロー戦隊に入りやがって頭が痛い」


白浜

「そのお孫さんは『電波戦隊スイハンジャー』に出てらっしゃいますね」


鉄太郎

「シルバーだからあまり活躍しねえと思っていたが…暴れまくりさあ、次の質問行ってよ」


白浜

「はい、もし10億あったらどうします?」


鉄太郎

「半分は故郷阿蘇の復興のためと、もう半分は無利子の奨学金基金制度を作るよ。若者から搾り取ろうとする社会なんか、駄目だあね」


白浜

「楽しかった事や嬉しかった事は?」


鉄太郎

「まああの世の方の友達が多くてさ、長谷川平蔵さんと山岡鉄舟さんとで『鉄ちゃん会』ってゆー乗り鉄サークルで旅することだな」


白浜

「悲しかったことは?」


鉄太郎

「息子の祥次郎に先立たれたことだなあ…」


白浜

「傷ついた子供が目の前にいたらどうします?」


鉄太郎

「まずは病院、犯罪性があれば警察に届け、その子供の安全が確保される環境を整えます。本人の同意と承諾の上で合気柔術を教えてえなあ…」


白浜

「ずいぶん世相を見たお答えでしたね…もし異性が声をかけてきたら?」


鉄太郎

「我が妻フロールに一辺の疑念を持たれぬよう誠実に話し相手になり、秋波(逆ナンパ)だったらきびすを返して逃げます」


白浜

「どっかで聞いたような…これからは自由質問なんですが、好きな哲学者は誰ですか?」


鉄太郎

「皮肉屋のバートランド・ラッセルです」


白浜

「私もです。ベンサムもミルも好きなんですがきりがないので最後にメッセージを」


鉄太郎

「哲学とは、自分が弱っている時、自己欺瞞の奴等の精神の奴隷にならない為の処方箋である。へへっ、なんかキメちゃった?」


白浜

「番宣しないゲスト、初めてです!鉄太郎さん、ありがとうございました」



鉄太郎

「あ、道路開通したから阿蘇に遊びに来てよ、ってこれダジャレ?(ひとりウケ)」











  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る