第3話 クリスマス

その後も度々、彼女と会った。

学校のゼミ帰りなどことあるごとに会っていた。

クリスマスに会うと決まったとき、私は秘かにプレゼントを用意して1人で勝手に楽しくなっていた。

そして当日、いつも通り喫茶店で席に着くとまた色んな話をした。

少し時間が経って、どちらともなく発した声が重なった。


「「あの…」」


「あっ」


「えっ」


2人でどぎまぎして言葉に詰まってしまった。

渡さない訳にはいかないと思い、私は口火を切る。


「これ、クリスマスプレゼント。貰ってくれる…?」


鳩が豆鉄砲を食らったような顔の彼女に不安になる。

すると思いがけない言葉が返ってきた。


「同じこと考えてたんですね。実は、私も持ってきたんです」


時が止まったかのように感じた。

嬉しかった。

夢を見ているのかと思った。

プレゼントを交換するとじんわりと胸が温かくなった。

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