第17話巨大水槽

「カピパラ首相がいなくなったんなら、赤鉛筆は元に戻しませんか?」アリスが言いました。

「いやいや、あんな重いマンホールを運んだ苦労を無にはできませんよ」とヌートリア先生。

「巨大水槽を修理するのにたくさんお金をつぎ込んだし、もう動き出してるし、いまさら止められたんじゃ大損ですよ。大損。何にもわかってないな」とサル社長。


「もう、頭固いんだから!」

アリスたちはヌートリア先生とサル社長をバスに乗せて工場の海へ連れて行きました。

真っ赤に汚れた岸壁や海を見て、

「全世界の海の面積で比較すると米粒ほどの影響もないですよ」とヌートリア先生が言うと、海に飛び込みました。さすがヌートリアは泳ぎがうまい。そして、「影響は限定的だな」と言いました。

沖ではクジラやイルカさんも顔を出して心配そうに見ています。

次に巨大水槽のヒビが入ってるところを見ながらサル社長は、

「ちょっとやそっとじゃ壊れやせんよ。ちゃんと耐震基準に合格してっから」

「地震がきたって、大雨が降ったって、大丈夫! 問題ない、問題ない!」とヌートリア先生。

「じゃあ、ミサイルが降ってきたら? 隕石が降ってきたら? あの龍が壊しにきたら? 誰が責任とるのよ?!」とアリスが言うと、

「おとぎ話に付き合って仕事するほどバカじゃない! 問題ない、問題ない!!」とヌートリア先生。

「責任? それはちゃあんと規則を守ってやってるんやから、私に責任はこれっぽっちも無いわな!」とサル社長が言いました。

工場の近くまで心配でたまらず様子を見に来た太陽の塔さん(!)の姿も向こう岸に見えます。

「もういいだろう、解散解散」ぶっきらぼうにサル社長は言いました。

空では龍さんと赤ちゃん龍も悲しそうな表情で見下ろしていました。

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