第13話帰りたい
「結局私には何もできないのよ」小さなヤシロまで戻り赤鉛筆をムカデじいさんに渡してアリスは言いました。
「そうじゃな。世の中たいがいはそんなもんじゃな。でもその気持ちは捨てずに心のタンスに大事にしまっておくといい。いつか役に立つ日がきたらその時すぐに取り出せるように。捨てたらだめじゃよ」とムカデじいさんはウィンクしたような、しなかったような、でもアリスはしゃくぜんとしませんでした。
「ムカデさん物知りだから知ってたら教えて。私はどうやったら帰れるの?」
「そりゃ、帰りたいって思ったら帰れるはずじゃよ。ここに来たいって思ったから来たように」
「え?そうなの? そうなのかなぁ?」
「ここに来た人はみんなそうじゃったよ」
「ここに来たのは私だけじゃないんだ」
その夜アリスは小さなヤシロの中でゆっくり眠りました。そして久しぶりに夢を見ました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます