第8話コイさん
川に行くと、たしかに風呂おけのようなものはありましたが、古くてほとんど原形をとどめていませんでした。ちょっとテンションが下がり、川べりの階段を降りたところで川面を見ながらどうしたものかと途方にくれていると、川の中から黒く大きなコイが頭を出して言いました。
「困った顔してどうしたんだい? 川を下るんなら背中に乗せて行ってあげるよ」
アリスは今までここで出会った人たち(動物たち?)を思い出すと
「あ、いえ、結構よ。自分でなんとかするから」と言いました。そして仕方なく階段を上がり川沿いに歩き始めました。
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