第十二話 「怒り狂う アルレナ」
俺が、アルレナに酒を進めて二時間後――
「ユウタああ!! 飲むわよおおおお!! 」
「うぇええええええいいい!! 」
「ユウタさん私にもお酒を! 」
「ユウタァ! 注いでェ! 」
俺含む全員が、お酒に飲まれていた。
マリアはカウンターの上でエビぞりになりぶっ倒れながらお酒を飲み。
オーロラは、さっきまでお客さんが来たら困るから……などと、抜かしていたくせに今じゃ、完全に酔っ払い俺に抱き着いたり、ちゅちゅして来る。
――あ、一回マジでぶん殴りました。
そして、アルレナはと言うと……。
なんか、俺のズボンの中にいる。理由は、あったかいからァとか言っていたが本当の理由は分からない。
なんか、無性に俺の息子を――いや……やめておこう。
「お前らあああぁぁぁ!!今日は、朝まで飲むぞおおおお!!」
「「「いええええぇぇぇ!」」」
――最高です。
ヒキニート&二次元オタクの俺が女に囲まれてお酒を飲むなんて考えても居なかった。
俺達はこの日、太陽が登るまでお酒を飲み続けました。
♢
――正午頃
「「うぇぇ――……」」
次の日、俺、マリア、アルレナ、オーロラ共に皆で近くの川に口からキラキラを出していた。
……水質汚染?環境汚濁?何それ美味しいの?
「お、おい……マリア。生きてるか?」
「え、ええ」
あの、お酒にかなり強いマリアでさえこの状況……どんだけ飲んだんだ?俺ら。
昨日の事、はあまり覚えてい無い。かなり酔っていたからな。
アルレナの気を晴らす為に酒を進めた俺だったが――その後、どうなった?
一切覚えてい無い。しかも、二日酔いだし……。
父親の気持ちが良く分かる。
「アルレナと、オーロラは?」
「ああ、あの二人ならほら、そこ――」
待て待て、ほらそこじゃねぇよ。
なんか、二人。川に浮いてんだけど……
「アルレナぁぁぁ!」
「ちょ、ちょっと!ユウタ!」
俺は、川に飛び込んだ。
もちろん、助ける為にだ。なのに……なのに!なんで、この川こんな浅いの!?
そう、この川。水深が50センチ程しか無いんだ!
無論、男の俺は川底に頭を打ち
――気絶した。
「ちょっと!ユウタも!!? ユウタも川に浮いてるの!?」
「ちょっと、マリア。どういう事?」
気を取り戻したオーロラは川から上がり、浮いている俺とアルレナを見て驚愕した表情でマリアに話しかけた。
それに対し、マリアは顔を拒め
「なんか、さっきオーロラと一緒に浮いていたアルレナを助ける為に川に飛び込んで川底に頭打って気絶した」
「え……ちょっと待って。私と一緒に浮いていたアルレナを助ける為に飛び込んだんだよね?」
「ええ、そうよ」
「私の事は、助ける気無いって事だったのかな?」
「うーん、知らないけど……まあ、そうだったのかしら?」
「ねえ、マリア……この人川に沈めましょう?」
「え――……?」
ん?なんだ、なんか息が……でき――。
おい、待てヤバイぞ。息が出来ない!
目を開けるとそこは、太陽の光が透き通り淡い光を放ち俺を照らす。美しい所――。
まるで、天国のような……。
いや、ここは水底だ。それも、かなり浅い。
一度、来た事がある様な、
「ぶっわあぁぁぁ……」
口から吐く息が、泡となり俺の真上へ上がっていく、その光景は水のダイアモンド!
そして、再び俺の意識が遠のいてゆく――
「ユウタ……ユウタ……」
何処からか、綺麗な高い声が聞こえて来る。
俺は、重い瞼をゆっくりと開き目を開いた。――視界には、心配気な顔のアルレナが俺を見つめている。
「こ、ここは?」
「おば……オーロラのォお店」
「確か……俺は、お前を助ける為に川に飛び込んで」
俺が、発した言葉を聞きたアルレナは真っ白な美しい肌を紅に染め、下を向いた。
まあ、アルレナの真下に俺がいるわけだから。その、赤面も丸見えだ。
「あ、ユウタ! 目を覚ましたわね!」
元気よく話しかけて来たのは、マリアであった。
「あ、ああ。俺、どうなったんだ?」
「えーとー、浮いているアルレナを助ける為に川に飛び込んで川底に頭打って気絶して――で、川底に沈めたのを、アルレナが助けたのよ」
「おい、川底に頭打って気絶しての続き。もっかい言え」
「え?だから、川底に沈めた」
「ああ、沈めたああああぁぁぁ―――ッ!?」
いや?なに、さらっと言ってるんですか?
それ、殺人未遂だよ?
「いやーなんか、オーロラが急に怒り出して……ユウタさん沈めましょうって」
「おい、あのババァ出てこい」
「あ、あの……ユウタさんすいませんでした!つい、カッとなってしまって……」
よく、某アニメ名探偵コ○ンに出てくる、犯人が良く言うセリフを言っているオーロラだが、何処にもオーロラがいない……。
只々、いるのは見たことも無い真っ白な毛をした猫だけ。
「え?どこ?」
「ここですよ」
うん、信じられないが。間違い無く、猫からオーロラの声が聞こえて来る。
「この、猫?」
「そうです!」
「なんで、猫なんですか?」
「いや、その……私、どんなものにでもなれるんです!(生命体に限る)」
「ええ……なにそれ、凄い。じゃ、じゃあ。綺麗なお姉さんにも?」
「はい、なれますよ!」
「じゃ―――」
あれ?どうしたんだろう……さっきまで、赤面だったアルレナの表情が冷たくなっている。
「ユウタァ?いいの?」
「はい、すいません。オーロラさんやっぱいいです」
「は、はい」
オーロラらしい猫は、顔を青くして気まずそうに俯いた。
正直言って、あの変態おばさんからここまで可愛い猫になったのはデカイ。
生命ってのは、見た目が変わるだけで物体を見る印象はかなり変わる、例えば――蛇に対し、白くまの子供の方が絶対に可愛いのは当たり前だ。
つまり、生命は生命の事を外見で判断していると言う事である。
「あ、あの!」
いきなり声を上げたのは、白猫のオーロラ
「ユウタ……さん!」
「はい、なんですか?」
「マリアと色々話し合って決めたのです」
俺は、何ぞとばかりにマリアを睨んだ。
無論、そっぽを向きながらぴゅ~ぴゅ~口笛を吹いている。
危険だ。
――この流れは危険だ!
「よし、マリアとアルレナ。おいとま、するぞ」
「待って下さいー! 最後までえええぇぇ! 」
帰ろうとする俺を全力で引き留めるオーロラ、
なんて卑怯なやつだ……見た目を綺麗なお姉さんに変えやがった!
「よし、聞こうか」
「え? あ、はい! ありがとうございます」
「ユウタァ……」
あ、後で処刑だ。
だが、俺は、今この瞬間この一分一秒でも目の前にいるお姉さんを見ていたい。
もう知らん、後で殺されるのは後の俺だしな……。
なんて、意味の分からない理屈を立て俺は、お店にとどまる事にした。
「あ、あの。実は私……このお店を開いた理由が、冒険者になる為だったんです」
「えーとー、どうして?」
「はい、駆け出しの冒険者は余りに弱く。全然、お金を稼ぐ事が出来ません。なので――」
「――酒屋をやって大体お金が貯まったら冒険者にジョブチェンジすると……」
「そうです。そうなのですが……お店を開いたはいいもののお客さんが全然入らなくて、赤字ばっかり……」
「それで、養ってもらえる俺にすがって来た訳か、それも夢だった冒険者にもなれ一石二鳥だからな」
「ま、まあ。そうなるのですが……」
「無理だ、これ以上女が増えると街の人からやギルドの人から変な目で見られるんだよ」
「嫌です!! あ、そう言われると思って猫になったのです!」
「ほおーなるほどね。猫なら、食事代も少しですむし俺が変な目で見られる事も無い」
「そうです! そうなんです!」
「ふむふむ」
「何でもします! 旅に出たら、旅の疲れを癒す為に夜のご奉仕だってします! 」
……おい、待て。
今とてつもなくいい事を聞いた気がしたのだが?
ま、まあ。今の俺ならあと何人かは死ぬまで養えるから……別に……。
あれ? アルレナが物凄く怖い顔で俺を見つめているんだけど……。
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