学園祭
第34話 学園祭のはじまりはじまり
一日、ホール会場で行われた学園祭一日目は、席に座っているだけで無事に終わり、僕らにとっては本番となる二日目が始まろうとしている。
校門には派手なアーチが取り付けられ、校舎の窓の所々からモニュメントが顔を覗き、模擬店用のテントが昇降口や体育館まで並ぶ、一歩踏み込むだけで学園祭の弾けるような空気に包まれた。教室へ向かう途中にも、お化け屋敷やマジックショー、焼きそばやポップコーンなどの看板が雑多に並べられた廊下を通り抜け、ゴスロリに黒魔術師、RPGに出てきそうな派手で装飾過多なコスチュームをした生徒と何度もすれ違う。
一昨日まで普段どおりに授業を受けていた校舎から突然、異世界に迷い込んだような錯覚に陥る。
人の波にぶつからないように、ふらふらと歩きながら教室の隣に用意された控室に入る。普段は空き教室として薄暗いこの部屋も、今日は賑やかだった。適当な机にカバンを置き、色彩豊かに装飾された黒板に近寄る。模擬店の準備で余ったキラキラと輝くモールや、段ボールのクレープ型があちらこちらに飾られ、雑多な雰囲気を醸し出す。黒板のいたるところに描かれた、小さくデフォルメされたイラストの真ん中、おまけ程度の大きさで今日のタイムスケジュールが書かれていた。
スケジュールを確認し、隣の教室へと入った。中ではすでに、エプロンを付けて準備をしている姿や、配置の最終調整をしてる様子が目に入る。
果たして、何からすれば良いのか。
教室の入口で途方に暮れながら全体を見回していると、テーブルの下から飽きるほど見た顔が現れ、僕と目が合うと満面の笑みで歩いてくる。
「よう、篠崎。今日は早く起きれたんだな。って言っても、ぎりぎりだけど」
「遅刻しないだけ良いだろ。逆にお前は早すぎるんだよ、もう部活の方には行ったのか」
「まあな、テニス部は校庭でやるから後で来いよ。五十嵐さんと一緒で良いから」
「一ノ瀬がいる時間に行くから、後で時間教えろ。五十嵐と一緒かは分からないけど、あいつと一緒に見て回る約束もしてないからな」
「昼から午後くらいはいるな。確か十一時からだったはず」
「了解、時間見て行くわ。そうだ、これ」
何をしようとしていたのか思い出し、手に持っていた紙袋を差し出す。薄茶色の袋が目の前で揺れる。
怪訝な顔をした一ノ瀬が、なにこれ、と紙袋を受け取り中を覗く。
「いや、その袋を五十嵐に渡しておいて。僕からって言えば分かるから」
「そっか......ならこれはお前が渡せよ。確か窓のそばで準備してたから」
「優しくないな」
「ついでにテニス部の模擬店まで一緒に行こうって誘って来いよ」
教室から出ていく一ノ瀬に背中を押され、躓くように教室に入る。
相も変わらず、右手には紙袋を掲げたままで。
さて、どうしようか。
机が動かされスペースを空けられた教室の半分には、黒のカーテンが引かれ販売所の奥は見えないようになっていた。時々カーテンが揺れ、その向こうから笑い声が聞こえる。何となく、その中に入るのは躊躇ってしまう。境界線を超えるような感覚。
朱音がいたという窓は、カーテンの向こう。紙袋を左手に持ち替えてカーテンを開けた。
カーテンの隙間からさっぱりとした風が吹き抜け、前髪を揺らす。日光を溜め込んだような空間は、明るく清々しかった。そんな教室の隅で、フライパンを片手に何かの説明をしている朱音が見えた。
赤いクラスTシャツと制服のスカートが揺れる。
この状況だと、声をかけにくいな。
「おはよう篠崎くん。もしかして、五十嵐さんかな」
「そう五十嵐。今、駄目だよな」
「大丈夫だよ、ちょっと待っててね。五十嵐さん、篠崎くんが呼んでるよ。デートのお誘いだって」
「篠崎君に限ってそれは無いわよ」
フライパンを机において、こちらに向かってくるのを確認してから、カーテンの外に身を引いた。間もなくして、カーテンの隙間から朱音の顔が現れる。
「こっち暑いわね」
「風が来ないからな。ほら、先に渡しておく」
左手にぶら下げていた紙袋を差し出す。
紙袋を右手で受け取った朱音は中身を確認せずに、そっと胸の前に抱えた。
「ありがとう。助かったわ」
「気にしなくていいけど、朝、うちに来れば良かったのに」
「その時間、まだ眠ってるかなって思って」
「確かに、連絡があった時間は眠ってたわ。それにしても、そのエプロンで良かったのか」
「そうね。こっちの方がポケットがあって使いやすいの」
朱音に渡したのは、いつも僕の家で夕飯を作るときに身につけているデニム地のエプロン。一昨日の夜、朱音と一緒に夕食を作ったときもこのエプロンを付けていた。
それにしても、朱音から連絡が来たのは朝の六時半。目覚ましよりも早い。
「何時から学校にいるんだ」
「今日は七時ちょっと過ぎ。そっちだって、今日は早いでしょ」
「いつもに比べればな。あと言い忘れてた、一ノ瀬が暇な時にでも部活の模擬店に遊びに来いって」
結局、自分から誘ったというより、一ノ瀬を口実にして逃げていた。
その言葉を聞いた朱音は僅かに笑みを浮かべながら、紙袋を抱きしめる腕に力が入れる。
「本当にデートの誘いだったのね。私も一ノ瀬くんに言われてるのよ、篠崎君を誘って遊びに来てって。だから、十一時にそこの渡り廊下で待ち合わせましょ」
「了解、十一時で。カーテンの奥から呼ばれてるよ」
時刻は七時五十二分。学園祭の開始までにはまだ時間があり、模擬店の飾り付けと工程の最終確認が各々で忙しなく行われている。見渡すと、一條がクラスの写真を撮りながら歩き回っているのが見えた。
確か学園祭の写真を撮って、クラスのアルバムを作るって言ってたっけ。
準備が進む校舎の中を歩き回り、ポスターや看板を設置しながら他の模擬店を物色する。焼きそばにフランクフルト、野球部とサッカー部のストラックアウト、美術部のお絵かき教室。そして写真部のコンテスト。
色々あるんだな。一先ず看板は、人目を引き、人気の有りそうなポスターの近くを中心に貼っていく。
手持ちのポスターが無くなって控室に戻ると、間もなくしてホームルームが始まった。
全力で楽しもうという先生の言葉。委員長として前に立った葉山の声。どこかのグループがクラスみんなに、と作成した赤いブレスレットが配られる。
最後には、赤いブレスレットを身に着けた全員で円陣を組み、学園祭の成功を叫ぶ。
「後夜祭もあるからね。一年目の学園祭、楽しんで」
先生もTシャツとブレスレットを身に着け、笑いながら言う。
後夜祭か。自由参加にも関わらずほぼ全員参加するらしく、昔からこの近辺では有名だった。小さな花火があったり、先生たちの模擬店があったりと、後夜祭を楽しみにしている人が多く、準備期間中にも良く話題に上がっていたっけ。
そういえば、一番告白が成功するって誰かが言っていた。学園祭マジックだってさ。
時計の針が九時を指そうとしている。十秒前からどこからともかくカウントダウンの声が聞こえ始める。他の教室から、向かいの校舎から、校庭から。
ゼロに近づくにつれ、次第に声量と熱気が上がり、学校全体が異様な盛り上がりに包まれた。今までどこに、そんな沢山の人が居たのだろうかと思うほどの声量。
有り余る体力を放出する様子を、楽しそうだなと眺めていた。
雰囲気に釣られるように、三、二、一、と呟き時計を見上げる。
そして、皆がゼロと叫んだ瞬間、ひび割れた音がスピーカーから流れ、学園祭実行委員長が学園祭の開催を告げる。控室では、ハイタッチをしたり、さっそく遊びに行くために歩き出す姿、エプロンを身に着け模擬店の準備をする様子と、三者三様であった。
僕は誰も居なくなった控室で、人が増え始める外の様子を眺める。細々と動く様子が蟻みたいだ。
空は透き通り、流れる雲の動きがはっきりと分かる。雨は降りそうになく、後夜祭も開催されるだろう。
十分くらい経っただろうか、黒板を見る。朱音との約束の十一時までは、シフトが二回分ある。模擬店のシフトは、朱音は二回目で僕は最後だったはず。そういえば、一回目は暇なら手伝って欲しいって言われてたっけ。
仕方がない、窓から校庭の様子をゆっくり眺めていたかったが、行くしか無い。二回目の時間は少し学園祭を見て回ろうかと決め、机から腰を上げた。
控室の隣、模擬店として使っている教室へ入ると、鼻に残る暖かなクレープ生地の甘い香り。始まったばかりのこの時間では、客足はまだ疎らで手伝う必要の無いように見えた。
カーテンの前、黒板から教室後ろの掲示板まで、教室を縦断するように机を並べて作ったカウンターでは、三つのクレープを渡す川口さんがいた。受け渡す客が居なくなったタイミングで、川口さんは僕を見つけて手を振る。
呼ばれるように、僕はカーテンと机の間に入る。客ではないことを示すように。
「どう、順調?」
「うん、まだ人は少ないけど。今のところは問題ないかな」
「それなら安心した。葉山は調理?」
「作ったり、皆に教えたりしてるみたい。調理台は三つしかないし、流れに乗ったら後でレジを手伝ってくれるって」
「良かったな。いま手伝えることはあるか」
「一緒にレジをしてくれると嬉しいな。一人だと何人も対処しきれなくてね」
確かに、一人で何人もの注文を捌くのは大変だろう。何も言わずに頷き、エプロンを身につけてから手を消毒する。頭の中で接客のシミュレーションを何度か繰り返し、川口さんの横に並ぶ。ここに立つとよく分かる、やっぱり僕は緊張していた。人見知りには辛いな。
疎らだった客足が増え、いつの間にかレジの前には数人の列が出来上がる。
「いらっしゃいませ」
普段、絶対に言わないであろう言葉を発し、引き攣ったような愛想笑いを浮かべる。受けた注文をメモし、カーテンの奥へと渡す。ただそれだけなのに、一回一回の疲労感が体にのしかかる。
二十分を過ぎた頃には、クレープの生産が追いつかなくなるのでは無いかと、思ってしまうほどの列が出来上がる。一回のシフトは五人。クレープ生地を焼くのは最大で三人までで、レジは一人、トッピングは状況に応じてって話だったかな。一回のシフトの人数は決められていたが、これは想像していたよりもキツそうだ。
僕は、丁度良くカーテンから出てきた葉山に声を掛ける。
「丁度良かった、葉山はレジを引き継いでくれ。僕は中でクレープを作る、トッピングが出来る人が足りないだろ」
「あれ、篠崎。どうして」
葉山がレジに並ぶ僕と川口さんを交互に見ながら、思いつめたように下を向き、額に中指をあてる。こうしている間にも客足は途絶えることはない。
早く頷いてくれ。思考が止まっているような、らしくない姿に焦れったくなり、葉山の肩を叩き無理やり交代する。
忙しいのは分かるけどさ、お前も楽しまないと、このシフトの組み合わせに意味がないんだよ。
「篠崎は、すぐにクレープ作れるのか?」
「この数週間、嫌になるほど色んなのを作ったからな。メニューのも一通り問題ない」
メニュー開発に、個人練習、夕食後のデザート。全部、朱音に付き合った結果だ。一昨日も、最終確認と言って、いくつかのクレープを一緒に作って食べたっけ。
調理用にマスクを手に取りながら、カーテンを開く。カーテンの向こうには、窓を開いていながらも、濃厚なクレープの香りが充満していた。窓際に並べられた机には、IH調理台が三つ並べられ、フライパンからゆらゆらと白い湯気が上る。
「あれ、篠崎くんじゃん。どうしたの?」
「今から、ただのバイト。ひたすらトッピングを載せるだけの機械になるから」
「助かる。なら、篠崎は隣の机を使ってくれ」
「私達は焼けた生地をお皿に載せるから、生地を持っていくときはお皿ごと交換してね」
僕は右に置かれた机と、その机の上に置かれた真っ白い空の大皿を確認する。
よし、始めるか。
次々に届く注文書の通りにクレープを作っていく。ある程度生地のストックが出来ると、誰かしらがトッピングに周り、クレープをレジの二人に渡していく。
「クレープどうですか? 四階でクレープ販売中でーす」
換気と熱を逃すために開いた窓からは、時々宣伝の言葉を叫んでいる。手を振ったり、窓に貼られたポスターを指さしたりと忙しそうだ。
何個目かのチョコバナナを作り終えたとき、カーテンが開き葉山が顔を出す。
「篠崎、ありがとう。もう十時だから交代。引き継ぎが上手くいくまで、少しだけレジを任せても良いか?」
「もうそんな時間か。良いよ、そっち行く」
気付けば、あれから四十分近く経っていた。無駄話をしながらも、自分でも驚くほど集中していたんだろうな。
再びレジに立ち、川口さんの隣に並ぶ。
自分でも似合わないと思う笑顔を浮かべながら接客を始める。残り数分の辛抱だと自分に言い聞かせ、いらっしゃいませと言いかけて止まる。
「なんで貴方が?」
「ただのバイト」
「その笑顔、引き攣ってるわよ。悪いけど、なんか似合わないね」
いつの間にかレジの前に立っていた朱音が、肩を震わせて笑う。左手には、朝に渡した紙袋を持っているから交代に来たんだろう。似合わないとは失礼な。
「それじゃあ、私と交代」
「そうだね。篠崎くん、ありがとう。五十嵐さんと交代して、休憩してよ。本当に助かった」
「......篠崎君は、ずっと川口さんとレジだったの?」
「いや、最初と最後だけだ。ほとんどクレープの上に生クリームを絞る作業」
「上手くできた?」
「お陰様でな。あれだけ予行練習すれば、誰でも上手くなるさ」
エプロンを解き、カウンターの外へと出る。なんとも言えない開放感に包まれる。
これから一時間、どこへ行こう。控室でゆっくりとしたいけど、何か食べに行くか、文化部の展示を見に行くか、運動部の方へ行ってみるか。そうだ、写真部には行かないとな。
エプロンを控室に戻し、大人と子供が入り乱れる廊下を歩く。小学生や老人などとすれ違い、普段の高校らしさを感じさせないのが面白い。
目的もなく歩いていると、色んな方面から声をかけられる。
「茶道部のお茶会は興味ありませんか?」
「演劇部は十時半から劇をするから見に来て! 次はミステリーをやるよ」
「かき氷やってます。三種類のシロップを選べますよ」
「ゼリードリンク販売してます。どうですか、少し休憩してみませんか」
和服やトレンチコート、エプロン......色んな服装が溢れ出す。廊下の突き当りに辿り着き、目の前にあった教室で、透明なプラスチックカップに入った一口サイズのワッフルを買って下の階を目指す。メープルシロップとチョコレートの香りが、さっそく疲れた体に染み渡る。廊下の窓から見える中庭からは、ソースの焦げる香ばしい匂いや、フランクフルトの焼ける煙が上がり、お祭りの輪郭がくっきりと浮かび上がった。
そっと窓から身を乗り出し覗くと、中庭の渡り廊下の近くでファインダーを覗く一條の小さな姿が見えた。その後ろには一ノ瀬が見守るように立っている。
このまま展示でも行ってみるか。
二階まで降りた僕は、渡り廊下を通り北館へと向かう。渡り廊下の窓からは、ライブ会場になっている体育館の入口が見えた。遮光カーテンの隙間からライトの光と一緒に、ベースの響くような音色が、きらきらと漏れる。
有名なロックバンドの楽曲だった。鼻歌交じりにリズムを取りながら、学園祭の空気に飲まれるように歩く。やっぱりお祭りには、人を引きつける魔力があるのかもしれないなと感じながら。
展示が行われている写真部の教室の前で、時間を確認しようとスマホを取り出し確認する。朱音との待ち合わせにはまだ時間があることに安心し、届いていた二件のメッセージを開く。
一件目は川口さんからだ。
『手伝ってくれたお礼』と短いメッセージに写真が添えられている。
朱音がエプロンを身に着けて、カメラ目線に手を振っている写真だった。僕としては見慣れた格好だが、学校でこの姿を見るのは新鮮で、少しの間、画面を見つめる。
『いつも通り可愛いって言っておいて』
川口さんに返信して、もう一件のメッセージを開く。
こっちは朱音だった。
『川口さんから届く写真は見ないで。見たら一週間、紫苑に夕飯を作ってもらうからね』
先にこっちのメッセージから確認しておけば良かったな。でも先に見たところで、結局は写真を見ていたけど。
『残念だけど、夕飯作ることが確定したみたい』
一言だけメッセージを送り、ポケットにしまう。
夕飯は何を作ろうかと考えながら、写真部の展示へと足を踏み入れた。
入り口に座る受付係の女子生徒から投票権を受け取り、奥へ進む。教室の壁や黒板、身長サイズのパーテーションに写真が貼られ、それぞれに番号とタイトルが書かれた紙が添えられている。僕は端から一つずつ、仕切りに沿って教室内を蛇行するように進んでいく。所々で人が集まり、人気がある写真の様子が伺える。
プール、空、木漏れ日。
誰も居ない教室、土煙の舞う部活、渡り廊下の自動販売機。
花壇の花、ポートレート。
水しぶきや真っ白い太陽の光を切り取っている写真が多く、全体的に夏らしさや高校生活の希望みたいなものが溢れている。その中で数点、ふいに自分の目に止まった写真があった。
特に足を止めたのは、『zoetrope』と名前を付けられた一枚と、『kaleidoscope-初恋-』と名付けられた一枚だった。
回転のぞき絵と万華鏡か、どことなくタイトルに近いものを感じる。
『zoetrope』は、遮断器の降りた踏切の前で制服を着た女子生徒が一人、夕日に照らされている写真で、踏切の丁度半分まで電車が通過していた。
『kaleidoscope-初恋-』は、写真の半分が左目を中心に写されている。プリズムの様に光を反射する真っ黒な瞳と、長いまつげ、綺麗に切りそろえられた前髪。そして瞳の中に、誰かの人影が見える。これが初恋なのだろうか。
どちらも綺麗な写真だった。ピントも構図も光の差し方も、どれも好みで。でもそれだけじゃない。
僕がこの二枚の前に足を止めたのは、たぶんこの写真のモデルのせいなのだろう。
この後ろ姿、そしてこの距離で見つめたことのある瞳。
どちらも朱音のようだったから。少なくても、この瞳は間違えない自信があった。
川口さんから届いた写真もそうだし、目の前の写真と同じ距離で見つめる機会も何度かあった、それに、休みでもほとんど毎日会っているんだから。
見惚れていると、窓から七月の涼しげな青い風が吹き抜け、考え込む僕を連れ戻す。
学園祭は始まったばかり。午後になって、最初に写真部の展示に来たのは正解だったのか、間違いだったのかを考えることになるとは、このときはまだ思ってもいなかった。
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