第8話
__ひとまず綺麗になった厨房でさっそく何を作るか考える。
「うーん…とりあえず無難にチャーハンでも作るか。一応中華料理人だったしな。」
初めて会った子に自分の料理を食べさせるのは少し緊張するけど、喜んでくれたらいいなと気持ちを込めて作ることにした。
__「はい、出来たよ。」
「…いただきます。」
無愛想だが、きちんと手を合わせてこちらを見てくれたことが嬉しい。
小さな口にパンパンになるくらい詰め込むのを見て慌ててお茶を出してやる。
「味…どうかな?大丈夫?」
恐る恐る聞く。
まだ口に入っているみたいでお茶を飲み、ゆっくりとこちらを見上げる。
「…まあまあ。」
…なんつー無愛想な奴
俺も決して一人前になったつもりはないが、そこそこ料理は褒められてきた方だ。
「…ご飯もう少し柔らかい方が好き。」
「…え?」
「べしゃべしゃなご飯が好きだから。貴方の料理は美味しいと思うけど、私はべしゃべしゃなチャーハンが好き。」
思わず固まってしまう。
そして笑いがこみ上げてくる
「ははは!べしゃべしゃなチャーハンが好きなの?変わってんな!」
笑いながら言うと彼女はムッとしながら僕を睨む。
なんだかそれも可愛く見えて心が暖かくなる
「ごめんごめん。今度から飛音ちゃんに作る時は柔らかいご飯にするよ。飛音ちゃんの為だけのチャーハンを作るよ」
「…別に頼んでないけど。でも、ありがと…」
表情は変わらないが少し照れ臭そうに言う彼女見て、なぜだか不思議な気持ちになった。
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