第4話
___無事に仕事も終わり、パラパラと従業員たちが帰っていく。そんな中俺は再び調理長が待つ部屋へ向かう。
__コンコン。
少しだけ手が震える。緊張してるのが自分でもわかる
「失礼します。お疲れ様です。」
「ああ、お疲れ様。…顔つきが違うな。答え決まったんだよな?お前がどっちの選択をしても俺は責めないし、接し方も変わらないよ。…返事教えてくれるか?」
「…はい。ぜひお引き受けしたいと思っています。お話をいただけて本当に光栄です。精一杯頑張ります。」
「そうか…。ありがとう。よろしく頼む。店の準備は出来てる。優羽が始めたいと思ったらいつでもオープンは出来るぞ」
「では…来週からで大丈夫です。あまり待たせるのも申し訳ないので」
「じゃ明日早速送迎会を…」
「いえ、大丈夫です。挨拶はしますが、俺にそういうのは向いていません。調理長短い間でしたが本当にお世話になりました。」
「…こちらこそありがとう。でもな!店をやる限りまだ関わりあるんだからな?いつでも相談してこい。」
「はい。ありがとうございます!…では、失礼いたします。」
俺はこの店を旅立つことを決めた。たった2年しかいなかった。それでも俺は新しい世界を見たいと思ったからだ。聞いたところによるとオープンキッチンのカフェだから、俺が一番望んでたお客さんの笑顔が見れる店。そこに一番惹かれた。
この店が嫌いなわけではない、調理長も尊敬している。だから寂しくないわけではない。
「…嫌だと思いながら出勤していた店でも少しは愛着があったのかもな。」
もしかしたらこの店に来るのは最後かもしれない。そう思うと少し寂しくなる。
「いつか、お客さんとしてきます。本当にありがとうございました。」
そう言い、店に向かって深く頭を下げた。
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