第3話
昼間のピーク時も終わりやっと休憩に入る。
「昼休憩って言ってももう17時か…。とりあえず調理長のところ行かないと。」
この時間じゃ腹も減らないし、長く休憩している場合ではないので急ぎ足で調理長がいる休憩室に向かう。
___コンコン。
「調理長。失礼します。」
「おお、待ってたよ。お疲れ様。もう少しで寝ちゃうところだったよー。」
欠伸をしながら言うところを見ると、本当に眠かったんだと思い申し訳なくなる。
「遅くなってすいません…。
「別にお前のせいじゃないよ、ところで本題に入ろうか。…お前、自分の店を持ちたいと思ったことはあるか?」
「え…そりゃもちろん。俺の最終目標は自分の店を持つことですから。」
「そうか…。……優羽。ここを出て店をやってみないか?俺の親戚がやっているカフェがある。だが地方に引っ越すという事でその店をどうするか悩んでたところなんだ。お前が嫌じゃなければ引き継いで欲しい。リニューアルオープンとしてお前がその店の調理長兼店長をやって欲しい。」
__言葉が出なかった。すごく嬉しい。けど俺みたいな新米に務まるのか?店をダメにしてしまわないか?不安がよぎり思わず下を向いてしまう。
「優羽。俺はお前だから言ってるんだ。不安なのはわかる。だがお前なら出来ると思っている。嫌なら断っても構わない。帰りにまたここに来なさい。その時に返事を聞かせてくれればいいから」
「…わかりました。すみません。失礼いたします」
混乱したまま部屋を出た。
俺が店を持つ?この歳で?考えたこともなかった。不安だが正直挑戦したい。でも店をダメにしたら…。
考えても拉致があかない。
「…とりあえず今日の仕事を早く終わらせよう。今はそれが優先だ」
足取りが重いがそんなことは言ってられない。
いろんな感情に蓋をして俺は再び厨房へ戻った。
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