第2話


「おはようございます。」


そう言いながら厨房に入る。

挨拶を返してくれる人もいれば無視する人もいる。

最初は気にしていたがどこの店もこれくらいの距離感の人間関係だと知り、納得した。



トントン。

肩を叩かれ振り向く

「あ、調理長。おはようございます」


数少ない尊敬できる人。気さくで優しく、それでいて厳しい人だ。

「おう、おはよう。後で、二人で話したいことがあるんだが、いいか?」

「はい。大丈夫です。」

「じゃあ、昼休憩の時に呼ぶから。あ、あと誕生日おめでとう」


そう言いながら笑って去っていった。

俺みたいな新米の奴の誕生日覚えてるなんて、どこまで思いやりがある人なんだろう。やっぱりあの人みたいな調理長になりたい。



「まあ、その為にも今日も頑張らないとな…。よし!やるか」


気合いを入れ直し、顔見えないお客さんの為にとびきり美味しい料理を作ろうと思った。




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