シェマとケト(魔法使い、20代女性とその使い魔)

──簡単に自己紹介をしてください。


シェマ(以下シェ)「西部魔法協会付き、でした。シェマ・クァタです」


ケト(以下ケ)「ケトである。真名は別にあれど、この世界では使わぬな。序列五位の王族ネコガトヒアウであるが、いろいろあって使い魔となった。我がいえについても語ろうか? 特に要らぬのか。さようか」



──犬派ですか? それとも猫派ですか? 理由も添えて教えてください。



シェ「私の名前は『猫』からきています。だから猫派、と言いたいのだけれど、猫はケトで間に合ってます。ごめんなさいね、本当は鳥派です。アルルくんが羨ましい。ヨゾラさんも」

 ケ「一緒に飛びたかったのかな?」

シェ「ちょっとね」

 ケ「素直に頼んでみたらよかったのでは?」

シェ「だって、うなぎに『翼』を折られちゃったんだもの。船に乗る前に言ってみれば良かったのよね。あーあ」



──大切な人はいますか? いたとしたら、なぜその人が大切なのですか?



シェ「おばあさまです。子どもの頃に東方の砂漠を越えてやって来た、とても素敵な方よ」

 ケ「臣民たちの事を忘れたことはないが、ま、今はであるな」

シェ「ふふ、ありがとう」

 ケ「立場上そう言わざるを得ぬのだ」

シェ「それ言う?」



──金貨10万枚あったら、何をしますか?



シェ「ああ……どうしようかな。両親と兄を探すのに使います」

 ケ「ふむ。我が国では金に意味がないからな。ネズミ十万匹……手に余る。居心地の良い陽だまりでも持って帰れれば良いのだが」



──ここ最近で一番楽しかったことや面白かったことはありますか?


シェ「いろいろあったけど、ガザミいちへお出かけしたことかしらね。うん、やっぱり楽しかったわ」

 ケ「ヨゾラ君に猫の鳴き方を教えたのだが、しばらくしたら上達しておったのだよ。ささいな事とはいえ、なかなかに嬉しいものなのだな」



── 悲しかったことはありますか



シェ「はい。魔法があっても、どうにもならなかったことがたくさんありました。もっと──がんばらなきゃなって思います」

 ケ「無理せぬようにな」

シェ「干上がらない程度にがんばるわ」



──目の前に傷ついた子供がいるとします。どうしますか?


シェ「負けるな、怒れって言ってやります。今日負けても、明日負けなきゃいいって。明日がダメなら、その次でもいいって」

 ケ「猫の子であれば守りもしようが、ヒトの子はヒトに任せる」



──見覚えがない異性が声をかけてきました。どうしますか?


シェ「面倒くさいのですり抜けます」

 ケ「今の私は発情せぬので、意味がない」

シェ「生々しいわね。そういえばあんた、奥さんいるの?」

 ケ「結婚という仕組み自体がないよ。故郷くにに子はおるはずだが」

シェ「あっ、そうなの!? ええっと、あんたを使い魔にしておいて、こんな事を言うのもおかしいけど、いいの? 会いたくなったりしないの? 夏休みとか欲しい?」

 ケ「麦刈りを手伝いにいけと? ……まぁ時に思い出したりはするが、育ってしまえば、父よ母よというものでもない。あるじから目を離すわけにもいかんしな」

シェ「ちょっとなにそれ?」



──最後に、このインタビューを読んでいる人にメッセージをどうぞ。


シェ「私はアヴァツローに帰りますが、お仕事待ってます」

 ケ「猫の手も借りたいなどと言うらしいが、我らが臣民はなかなかに役立つぞ?」



──ありがとうございました


シェ「ありがとうございました。また会ったらよろしく」

 ケ「大儀であったな」

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