バカになれ

微睡

第1話


※注意。

バカになるためのものです。

お気をつけを












「へい!ボーイ!」


酒場からおっちゃんが顔を出す。手にジョッキを持って。


「どったのおっちゃん?」


時々ご飯を食べに行く酒場から、出てきたので多少は顔見知りなのである。


「こっちこいよ!」


「なになに?」


コイツに一杯よろしくー!と叫んで、手に持ってたジョッキを渡してくる。


そして、同時に中からおっちゃんが、おっちゃんの群れが出てくる。


「よぉ!」


最初にいた、おっちゃんにおっちゃんがジョッキを渡す。


「なんかあったの?」


「ここの娘っ子が帰ってきたんだってよ!」


いいねいいね!って言いながら後ろのおっちゃんが、カンパーイ!って言ってカンパイし始める。


「それ、いいことなの?」


「いいんだよ、カンパーイ!」


ヒャー!とか叫びなから一気のみはじめた人が後ろに見える。


「まぁ、ありがと!カンパーイ!」


「「「カンパーイ!」」」


4,5人が集まってきてカンパイを始める。


おっちゃんらカンパイしてたじゃん、後ろで。


とりあえず、口をつける。

と同時にジョッキの後ろをぐっと押し込まれる。


飲むのを止めると麦酒を浴びるから、止めれなくなるヤツなわけで……


「いきなり、なにを!」


「怒った?いえー!カンパーイ!」


意味がわからん。目が点になったのがわかる。


バカじゃないの?


「そんなことより俺のタップダンスを見てくれ。」


意味がわからん。

なんでタップダンス?っていうかただの千鳥足だろ、それ。


ギャハハハと、品のない笑いが響き渡る。


「なら、俺達の躍りも見るんだな!」


そういって5人ほどが前に出てくる。

なぜ、競った?


そして、踊り始めるポーズが決まり……一斉に踊り出す。


「いや、なんで踊った?」


「ひゅー!カッコいー!」


え?カッコいい?

5人の動きバラバラだよ?

っていうかセンターが、ふらついて吐き出したんだけど?

急に動くな、頼むから。


「なら、俺は!」


なに?今度は?また、踊るの?


「ふんっ!」


いきなり上を脱いだ!?


「ダーツします!」


「なんで上脱いだ!?」


しかも、手に持ってるの包丁やん!

投げナイフとかならまだ、100歩譲ってわかるけど!


「リンゴセットしましたー!」


お?酒樽の上にリンゴが置かれた。


「行くぜ!」


と、同時にヒュン!という音がする。


「……は?」


横を包丁が通り抜ける。


というのも、包丁を振りかぶったと同時に後ろに飛んでいったからで……


「死ぬかと思った……」


そういった瞬間笑いがおこる。


死ぬて!死ぬて!!


バカ野郎、ふざけん「ふざけんな!!」


え?と、振り替えると布袋に包丁が刺さったおっちゃんがこっちを向いて怒っている。


「包丁を投げるヤツがあるか!」


「まぁまぁ、怒るなって、取り敢えず、一杯!」


それが、通るわけないだろ、死ぬ寸前だろ……


「お、まぁ、しゃあないな」


なんで?なんで、それで許せるの?


「「「カンパーイ!」」」


意味がわからんよ?


「さっき買ったリンゴに刺さっただろー!」


と、笑いながらいっている。


「ほら!見ろ!リンゴに刺さったぞ!」


と、半裸のおっちゃんが言って、周りがスゲースゲー言い出してカンパイを始める。


「謎空間」


別のところでは、おっちゃん二人が上半身裸で威嚇しあってるのが見えた。


なに?猿なの?


「はよう飲まんとなくなるで?」


狐目のおっちゃんが、酒樽の上のリンゴになにやら語りかけている。


友達なの?


「リンゴー!」


と、思いきや、胸毛がスゴいおっちゃんがそのリンゴに飛び付いた。


「えどもぉぉぉおおおん!!」


狐目が開いた。絶叫である。


「いや、友達か?」


わからん、このノリが、わからん。


次第に道に溢れ出す酔っぱらいども。


ゾンビか何かか、知らないが増殖していく酔っぱらいども。


秘蔵の麦酒じゃあ!


という声が聞こえて、歓声があがる。


わからん、助けて。


やがて、ラッパを持ってきた酔っぱらいが、ブベベ、ビーとか変な音をたてはじめる。


それに合わして踊り出す酔っぱらい。


乱入してくる、ピンクの象さん。


回る世界。


響き渡るカンパーイ!の声。






その日、その町は、酔っぱらいが支配した。

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バカになれ 微睡 @dosooh

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