第17話評定
「まったく、
部屋といってもとても広い。
その中央に座っているのは八百万の神の中でも上位にある神々である。
天の
三貴神 -
御柱評定は
「あの
「
「なんと…」
「あの剣が…」
「
神々は互いの顔が見えぬように黒い薄布で隠れている。
「穏便にすませたい所だよ、私としては」
「それには僕も同意だね」
「僕は即破壊の意見だね」
剣丸は立ち上がって言い放った。
「おやおや、さきほど穏便にすませたいという意見に同意したのは誰だったかな」
「あの危険な剣を人の手に置いておくのは
すると一人の神が声を荒らげる。
「待たれよ、あの
剣丸は細い首をこくりとかしげる。
「当然。剣自体は正直いって危険ではないよ。問題はそれにつけられた翡翠だ」
「あの翡翠は三貴神の霊力がこめられた清き
剣丸は冷たくその神を睨む。
「たかだか翡翠のおかげで幾多の人の子が犠牲になったと思っている?まだ殺す気か?」
「たかだか翡翠だと…?もう一度言うてみよ!!」
さきほどから声を荒らげている神は剣丸の胸ぐらをつかむ。
それを稲荷が慌てて止めに入る。
「やめろ!なんの為の評定だ?なんの為の我らだ?我らは人の為の神だ。…神は間違ってはならない。たった一つの選択が厄災をまねくんだ」
「その通りよ。稲荷大明神」
その声にその場の一同ははっと顔を向けた。
「天照大御神様……」
黒い薄布のおかげで姿は見えないがその凛とした美しい声は天照大御神その人のものだ。
「神々が間違うことはあってはならないの。そのために最善の選択をしなければ」
天照はそこで言葉をきる。
「剣丸、今すぐに八咫烏に伝えてください。"剣の破壊および剣を目覚めさせた者の討伐を命じます"」
剣丸はひざまずく。
「承知致しました。すぐさま討伐に向かわせます」
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