第16話つるぎ
「何?一つだけ無いだと?」
昼間の
「はい、何度数え直しても一つだけ足りないんです」
「太刀が一振、探しましたが…」
困ったように顔を見合わせるのは、
柔らかそうな 白い髪に若草色の瞳に女の子のような見た目の少年は
黒髪をゆるく結わえ、くすんだ紅の瞳がとろりとしている少年。
そもそもの事の始まりは、貞宗が宮中にある
「で?無い品とは、太刀と言ったな?」
「はい、ですが、記された記録帳にも太刀としか記されておらず」
蘇芳丸も困ったように言う。
「それは、
ふわりとその場に降り立ったのは剣丸だった。
「なんだそれは」
貞宗は首をかしげる。
「だから、早くしろと言ったんだ!!」
「別にいいじゃないですか、遅れた所で誰かに怒られる訳でもないですし」
「まぁな、けど剣丸様まで待たせるのはいただけないな」
清涼殿に揃ってやってきたのは
「「「お呼びでしょうか?剣丸様」」」
三人は問うと同時にひざまずく。
「
剣丸の一言で白狐の顔がサッと驚きを隠せない表情に変わる。
「まことですか?」
「…八百万の神の中でも
朱月はにやりと笑う。
「こーら、馬鹿言ってる場合じゃないぞ。
「さすが、話が早くて助かるよ。今回は異論もなく全員一致で翡翠御太刀の破壊を決定した」
剣丸は当たり前のように言ってのける。
その空気を破ったのは鋭い貞宗の声だ。
「待て、剣丸。俺の所有物を勝手に壊すとはどういうつもりだ?」
「あれは人の手には余りあるものだよ、貞宗」
「その人の手に余りあるものを
剣丸は笑って誤魔化す。
「…剣丸様、しかし急ではありませんか?」
白狐は不思議そうに問う。
「確かに、御柱評定は最近はあまり開かれていなかったですよね」
朱月は切れ長の目をさらに鋭くする。
「あぁ、そういう事か。剣を盗んだ奴が問題なんですね」
朱月はにっこり笑う。
『まったく、この子は賢すぎて困りものだね』
剣丸は内心そんなことを考えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます