第5話桜雨
一、八咫烏は
二、天皇の
三、八咫烏は、人の子にあらず。ましてや妖となるも禁ず。
この掟は、破ることを絶対禁忌としている。これ以外にも細かく掟はあるが、巫女姫にもひとつ掟がある。それは、神々の姫であることを忘れてはならないこと。
春の穏やかな日差しは、いつの間にやらしとやかな雨に変わっていた。
「よう、
自分のことを、
「高明」
呼ばれた方を振り向けば、従兄弟の
「
「あぁ、そうだよ」
高明は答えると、春明の立っている隣に座った。
「…今日、伽羅に会ったんだ…」
ぽつりと話し始めた春明を高明はじっと見つめた。
「そうか」
「彼女を忘れようとしてみたけど、駄目だった」
「無理に忘れなくてもいいんじゃねぇの」
高明は笑いながら言った。
「そうかな」
「大事なのは、お前がどうしたいか、だろ?」
春明は頷き、微笑んだ。
「そうだね」
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