第3話忘れたくない人が
『忘れたくない人がいる』
どこからか吹き込む風と桜の花びらに手をのばす。
「…
今上帝の異母弟―
あの子との出会いはそう
ここは
清涼殿は天皇の住居である。
春明は父に会うために、ここを訪れていた。
清涼殿には、桜の木が植えられている。
そこにいたのだ。
桜の下で舞う少女。
黒髪を長くのばし、桜色の着物を着ていた。白い肌に桜色の唇。あどけない瞳は星空を閉じ込めた色。
「…あ、…桜だ…」
春明はふと呟いていた。桜の精みたいで…
少女は春明をじっと見つめる。
「どなた?」
「あ、えっと…君は?」
「…伽羅…あなたはだぁれ?」
「僕は、春明。」
…これが彼女との出会い。まさかこの時、彼女が八咫烏の巫女姫で、神聖な穢れ《けがれ》許さぬ乙女だとは知る由もなく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます