九十九折
「この坂道、やたらカーブがあるな」
心底うんざりした声を背後に聞きながら、慎重に、車のハンドルを回す。観光シーズンではないから、片側一車線の山道を上り下りする車は少ない。前の車との車間距離を気にする必要がないのは、楽。
「なんでこの道、真っ直ぐじゃないんだ?」
揺れに参ったのか、後部座席で大人しくしているはずの悪友の顔が、運転している陽人の横ににゅっと現れる。
「滑り台かジェットコースターの方が良かったか?」
悪友に皮肉を返した陽人の視界に、小さな駐車場が入る。きついカーブが多すぎて、少し気分が悪い。トイレらしい小屋もあるから、休憩するには良いだろう。息を吐く前に、陽人はウインカーの方へと腕を伸ばした。
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