いつまでも、待っている
「私が大きくなるまで、待っていて」
ラドの骨張った手を柔らかい手で掴んでそう言った少女は、ラドにとっては一瞬で、美しい乙女に成長した。そして。やはりラドにとっては一瞬で、ラドの元から去っていった。
いつまでも、待っている。彼女が眠る墓に、彼女が好きだった花を供える。花のような君に、永遠を生きるという罪を背負った自分は不釣り合いだから、君の愛を無碍にしてしまったことも何度もある。でも、それでも。……待っている。また、自分の前に、生まれ変わった君が現れるのを。それが、今の自分の、たった一つの希望。乾いた頬を流れた、久し振りの涙を、ラドは乱暴に、生きていた頃の彼女が何度も触れてくれた手の甲で拭った。
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