凶星は希望
マントの中に入り込んできた冷たい空気に、全身が震える。
馬上から見える景色は、僅かな風に揺れる枯れかけた草の海と、遠くに霞む山々の影のみ。人の姿は、何処にも無い。しかし、……予兆は確かに、ある。
黄昏が終わった空の低い場所で煌めくのは、『不吉である』と占星師が断じた『星』。その星が示すものを探し、排除するために、政府所属の下級騎士であるラドはこの場所にやってきた、のだが。
来た道を振り返り、息を吐く。この国は既に終わっている。それが、ラドの率直な意見。
とりあえず、寝られる場所を探そう。星よりも低い位置で光る小さな明かりに目を細める。あそこまで行けば、何とか。馬の鬣を、ラドはそっと撫でた。
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