捲土重来

 あいつに再挑戦する自分を「未練がましい」と評する人々がいることは、重々承知。だが、あの人の名誉を回復することの方が、大切。しっかりと研いだ剣を手に取ると、ラドは最強の敵が待つ闘技場に足を踏み入れた。

「来たか」

 相手の傲岸な声は、こてんぱんにやられたときと同じ。しかしこちらも、かつてのような、勢いだけで全てにぶつかっていっていた自分とは違う。持久力もつけたし、剣技も磨いた。後は、奴を倒すのみ。

 今回も、負けるかもしれない。過った弱気に唇を噛む。目の前のあいつは、ラドが密かに慕っている奥方を公然と侮辱した。ここで自分が負けてしまったら、あの方はどうなる。強い思いを、ラドは剣と共に相手の隙に叩き込んだ。

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