首を洗って
いつもは三分で風呂場から出てくるリュウが、今日は三十分経っても出てこない。
まさか、シャワーで溺れた? 胸騒ぎを覚え、一息で風呂場の戸を開ける。息を止めたアキの前にいたのは、もこもこした泡を全身にまとったリュウの影。
「何か、向山の奴がさ、『首を洗って待っていろ』って、言ってきて、さ」
対立するグループの幹部の名を挙げたリュウが、石鹸をたっぷりと含んだタオルで首筋を撫でる。
泡のせいで、リュウの全身にあるはずの傷跡は見えない。
何だ、惚気か。心配して損した。僅かな心の痛みを無視すると、アキはリュウに、泡を全部綺麗に流してから風呂場から出てくるよう指示を出した。
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