捨てたもの、捨てられたもの
「過去は、捨てたんだ」
簡素だがしっかりとした作りの木柵に凭れた友人の横顔に、唇を横に引き結ぶ。友人の視線の先にあったのは、畑に囲まれた小さな家と、家の周りで遊ぶ小さな影。
「もう、協力は、できない」
そうか。頷く前に、懐から拳銃を取り出す。
特殊な消音器付きの拳銃は、友人の背後にある大木の影に隠れていた大柄な影を容易く仕留めた。
「分かった。……でも、これだけは覚えておいてくれ」
倒れた影が持っていた小銃に驚きを示した友人に、小さく微笑む。
「仲間を捨てた貴様を、組織は許していない」
懐に戻した拳銃は、まだ、熱を持っている。
友人の返答を聞く前に、俺は、その場を後にした。
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