古い裁縫箱
少しだけ派手になった袖に、小さく笑みを漏らす。
セーターの繕いは、これで大丈夫だろう。次は。少し太めの針を針山に戻すと、
いったい何年、この裁縫箱と付き合っているのだろう? 昔のアニメ絵が蓋に描かれた、色褪せたプラスチック製の箱をまじまじと見つめる。小学生の頃から使っている箱だが、その頃から入っていた物はもう、この箱の中には無い。箱だけが、健在。
おそらく、この箱はこれからも、尤と共にあるのだろう。再び微笑むと、尤はズボンの裾直しに集中した。
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