今回の答え

「反撃は、止んだようです」

 夕刻近く。報告に来た部下に頷き、息を止めて辺りを見回す。

「魔力も、尽きたのでしょう」

 いや。もう一度辺りを見回し、おもむろに立ち上がる。力尽きたと見せかけて思いがけない方向から攻撃してくるのが、あいつのやり方。用心するよう周りに言い置いてから、ラドは鎧を確認し、手練れの部下達と共に、落とそうとしている砦へと向かった。

「静か、ですね」

 部下の声に、唇を横に引き結ぶ。

 先程までは確かに、こちらの攻撃に魔力で反撃していた砦には、……誰もいなかった。

 これが、あいつの今回の答え。戦場で相見える度に微笑む敵将の影が、脳裏を過る。今回は見事に騙されたが、次は。夕日を、ラドはきっと睨んだ。

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