柄×柄

 最近のAIは、頼めばその日に合った通勤服を選んでくれる。本当に便利な世の中になった。が。

「柄ブラウスに柄スカートは違うんじゃない?」

[無地スカートは全て洗濯中です]

 ワンルームの端に置かれたAI機器の反論に、思わず舌を出す。サンルームに揺れるスカートを数え、ねいは小さく息を吐いた。このところ忙しかった所為か、洗濯物が溜まっている。洗濯もAIがしてくれれば良いのに。

[それから、今日の取引先の重要人物は花柄のスカートを好むという情報も]

「あんな奴、無視」

[そうですね]

 苛立つ声を上げた寧に頷いた、ように見えたAI機器に、笑みを返す。

 柄と柄でも、別に良いか。AIが指示した通りの服を、寧はその身にまとった。

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