選び抜かれた

 大学時代、一緒に暮らしていた友人は、キャベツ一つ買うにも延々と悩んでいた奴だった。

「店で売ってるキャベツなんて、どれも一緒だろ」

「同じ値段なら、なるべく美味しそうなものを買わないと」

 巻きが固くて重いものが良い。丸いキャベツを片手に一つずつ乗せて重さを比べる友人に、分からないレベルで肩を竦める。食べられるのなら、何でも同じ。自分はそう思うが、友人はそう思っていない。その認識の違いが新鮮で、買い物にはいつも、なんだかんだと理屈をつけて一緒に行っていた。

「これが良いかな」

 ようやく、キャベツを籠に入れた友人が、次の売り場へと足を運ぶ。

 その晩、友人が作ってくれた野菜炒めは、確かに、美味しかった。

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