夕刻の約束を破ると

 公民館が鳴らす夕刻のチャイムの音が聞こえてきたらすぐに、家に帰らなければならない。そのことは、学校でも家でもきつく言われ続けていた。だが、もう少し遊んでいても。友達が蹴ったサッカーボールが転がってくるのを、章は笑いながら蹴り返した。

「あっ!」

 勢いがつきすぎたボールが、公園の隅に転がっていく。しかたがない。友達に頭を下げると、章は薄暗くみえるその片隅にそっと足を踏み入れた。ボールは、公園の周りを囲んでいるフェンスに引っかかっているはず。だが、章の予想に反して、ボールはどこにも見当たらなかった。

 泣きそうな気持ちで、友達の方を振り向く。

 友達も、公園も消えていることに気付いたのは、丁度その時。

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