余寒と余炎
「三月なのに、寒いな」
炬燵に足を入れて震える相方に、微笑む。
「夏、早く来ないかな」
「夏は夏で、『まだ暑いのか』って文句言うのに」
「うん」
ぼやく相方の言葉を混ぜっ返すと、相方は炬燵机の上に顎を乗せて呻いた。
「最近、春と秋、無くなったな」
「気候は、自分達じゃどうにもならないけどね」
相方の呟きに、頷きを返す。
時々、何もできないちっぽけな自分が、嫌になる。それでも、自分が生きている理由は。
「本当に、何とかならないかな」
炬燵の温かさに目を閉じると、相方の声が快く響く。
「ずっと寒いのも、ずっと暑いのも」
君さえいれば、自分は、暑くても寒くても構わない。目を閉じたまま、僕は小さく頭を振った。
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