言葉を知らない街にて
背負い籠の重みが、心を重くする。
「南で作っているある物を売って欲しい」という依頼は、確かに受け取っている。その品物と、依頼文に同封されていた割符を持って、青年は北にあるこの街に来た。しかしながら。青年が持つ割符に合う割符を持つ店が、どんなに探しても見つからない。言葉が分からない大きな街で、青年は途方に暮れていた。
その時。街の外縁に、小さな店を認める。あの店は、まだ訪ねていない。一縷の望みを託し、青年はその店の前に立った。
店の奥に佇む老人が、無言で割符を差し出す。その割符は、青年が持つ割符にぴったりと、合った。
安堵とともに、身が軽くなる。
言葉無く品物を確かめる老人に、青年は小さく、息を吐いた。
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