準備は万全に
近くで拾った、適当な木片をナイフで削りながら、炎の向こうで食材を切り刻む相方の小さな手を思い浮かべる。
家事も仕事も趣味も、何をやらせても器用。更に、どんな動作も、あいつがやるとさまになる。持ってきた野菜と肉を適当に切って、火に掛けた鍋に入れているだけなのに、手元を忘れて見惚れてしまう。だが、妙なところでポカをやらかすのが、この相方の唯一の弱点。今日のキャンプでも。
「カレーできた。スプーンできた?」
「ていうか荷物にスプーン入れ忘れるなよ!」
手近の木の棒で飯盒を叩き、スパイス投入済みの鍋を乱暴にかき混ぜ始めた相方に、俺は肩を竦めてから、スプーンの制作に戻った。
SS
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