休息


睡眠や食事が必要かといったら、必要では無い。


眠らなくても大丈夫だが、眠った方がすぐに元気が出るし、食べたら美味しい。


なにより、食べながら話した方が会話も弾むってもんだ。


「今回のMVPは間違いなくノーマンだろうな」


ノリヲが一口大の酢飯に新鮮な魚が乗った料理を食べながら私の肩に手を乗せた。


「たまたま気付いただけで、私は敵を倒してない。みんながいなかったら勝てませんでした」


「本来、体内に侵入してきたウイルスを退治する場合、自分で戦うのはNGよ。状況を判断して的確な指示を出す。アタシたちは宿主のために絶対に倒れてはいけないの」


そう言うミサキの皿には、野菜をカラッと揚げた料理が3人前ほど盛ってあった。


「それ、1人で食べるんですか?」


「うん、とりあえず前菜」


私は前菜にしては重たいのではないか、という思いを飲み込んだ。この世界で、食は娯楽のようなものらしい。


「ノーマライズって、初めて聞いたんですが、常識なんですか?」


私は雨で冷えた身体を温めるため、甘いタレで煮つけた料理をよくといた鶏卵につけて食べながら聞いた。


「知らずに使っていたのかよ……俺たちは身体の中を守るために、宿主の栄養を使って武器や兵士。バリケードなんかを準備するんだ。そのためには、知識や経験が必要になる。今日はいろんなやつのノーマライズが見れたからな、参考にさせてもらったぜ」


「ほとんどのウイルスは熱に弱いらしいわ。かといって宿主の体温を高くすると影響が大きいから、ほどほどにしなきゃいけない。簡単なノーマライズなら教えてあげられるから食べ終わったら外に行きましょう」


そば粉で作った麺料理を5人前ほど積み上げてミサキが言った。


今回、ここに来れて本当に良かった。


私は基本的なノーマライズの手ほどきを受け、師匠と連絡が取れない者用のマニュアルを貰うと、親しくなった友人に別れを告げ、宿主の体内へと戻った。






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