集合!
私のとった行動で、チーム全体に迷惑がかかる。ならば、チーム全体で行動すれば責任は分散される。
さらに言えば、私だけではできないことも、仲間がいれば可能になる。
なによりも、私はこの世界の仕組みを知らなすぎた。少しでも情報を集めるために私はみんなを招集することにした。
「なにか良い案はありませんか? 何でも構いません。知っていることを教えてください」
集まった場所は、タンデンさんの持ち場であるベルトコンベア前だ。
タンデンさんの仕事がストップすると、全体に影響が出る。だから必然的に集合場所が決まった。
「そう言われてもワシはこれしかできんからなあ」
流れるような手つきで、よどみなく栄養を仕訳しながらタンデンさんが答えた。
「っていうか、オマエこの世界をコントロールできるだろ? おっさんを手伝う妖精とか生み出せないのかよ」
ひとり忙しそうに働くタンデンさんを思いやって右近が言った。自らが手伝う気はないのだろうか?
それとも自分の担当外の仕事に手を出せないのか。
「いいぞ右近。さっそくやってみるか」
「バケモノが出たんでしょ? そういうときはアタシを呼びなよ。そこの腐れサムライよりもよっぽど役に立てるからさ。バーン!」
私が右近を褒めたことで対抗心が生じたのか左近が銃を構えてみせた。
「DJさんは何かありませんか?」
「YO YO YO 俺の名はドラゴン・ジャック。音を奏で届けて聴覚ジャック。口にチャックしてチェックしときな。安産祈願の扉をくぐり、スズキという名の男に聞きな。光の先に、粋な男あり。お守りなければ、すべてが終わり。YEHA!」
ほかの皆がキョトンとした表情を向けるなか、ドラゴン・ジャックは得意げにポーズを決めた。
イエーじゃなくて……普通に喋ってくんないかな。と思ったが口には出せない。
せっかく新しい情報を提供してくれたのだ。機嫌を損ねるわけにはいかない。
「安産祈願のお守り……それがあれば情報収集に行けるんですね」
思わぬところから貴重な情報を得ることができた。暗雲立ちこめる状況の中に光が射した。
安産祈願のお守りがあることを願って、今回の談合は幕を閉じた。
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