テレパシー


できるわけがない。そう思えることも、やってみることで道が拓けることがある。


人間が空を飛んだのも、手軽に音楽を持ち歩けるようになったのも、すべてはあくなき挑戦による結果だ。


やらないよりは、やったほうがいい。


やったことで、後悔することもあるだろう。だが、それも経験であり、失敗は成功の母だ。



『タンデンさん! 聞こえますか!』


「んあっ? 誰だ? ノーマンか?」


実験は成功した。


『栄養の供給を一時的に止めてください!』


「なんでだ! ワシの仕事を奪うつもりか!」


『こっちでちょっとトラブルが発生しまして、少しの間でいいのでお願いします!』


実験は第二段階へ進んでいた。おそらく栄養の供給が止まれば、右近と左近の争いは止まるはずだ。


二人の武器は、タンデンの送り出す栄養を使っているに違いない。


突然放り出された世界で、なんとか現状を把握し、打開していこうと思うのは誰だって同じだ。


私は、境遇を嘆くよりも運命と受け入れ、ここが何なのか見極めて抜け出す決意をかためた。


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