存在理由


自分が生まれた意味を知っている者が、どれほどいるだろうか。


意味のないことに意味を見いだすのは意味があるのか。


わからないことだらけではあるが、やれることは限られている。


私がイスに座ること以外できることが思いつかなかったように、目の前のやれることをやるだけだ。


情報を持つ者が目の前にいるならば、何としてでも説得しなければならない。


でなければ路傍の石と変わらないではないか。


「私は路傍の石になるくらいなら、あなたのやらなければならないことというのをジャマします!」


説明してくれるまで絶対に手を離さない。という強い意志とともに、彼のウデをつかむ手に力を込めた。


「痛い! イタタタタタ! わかった、わかったから! まずその手を離せ!」


「すみません……あなたに頼るほか手段がなくて……」


それほど強くにぎったつもりはなかったが、彼は身をよじって悲鳴を上げた。


名誉を守るために言っておくが、ツバを浴びせられたことを根に持っていたわけでもない。断じて。




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