密閉空間


乳白色の天井や壁。

質感は柔らかく弾力性に富んでいた。


見えない自分の足から、ぬくもりだけが伝わってくる。


窓もなければ外へと繋がる扉もない。メロンの中に意識だけが生まれたのなら、今の状況に近いかもしれない。


ゴオオオオオ

という水中に潜りながら電車の走る音を聞くような、こもった活動音が常に聞こえている。


空気は無味無臭。中央に簡素な椅子と机がある。


触れてみると、木材でも布製でもない不思議と暖かいナニカで出来ていた。


机にはネームプレートが置いてあり、ノーマンと書かれていた。


持ち主の名前か、それとも使用者か。


包み込むような、しっくりくる椅子に身体を預けると、後者であることがわかった。


ノーマン。それが自分なのだろう。そしてあるべき場所に自分が収まったことを感じて、使命とも呼ぶべき自分の存在意義が見えてきた。






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